エドガー・ケイシーの光と影


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眠れる予言者 




前回は、ホワイト・イーグルと神智学の関わり、さらにはスピリチュアリ

ズムと神智学の関係について見てきましたが、今回はホワイト・イーグル

やシルバー・バーチとほぼ同時代のエドガー・ケイシーについて触れて

おきたいと思います。

 

エドガー・ケイシーについては、以前、一度取り上げたことがありますが、

今回は、神智学などの影響とその変貌という観点から再度考えてみたいと

思います。

 

エドガー・ケイシーは、「眠れる預言者」などと呼ばれ、催眠状態において

人々からの相談や質問を受け、それに答えるという形態をとり、催眠状態

のケイシーが語った言葉は「リーディング」と称されました。そして、

質問への回答は、超自然的な智慧の源、つまり、「アカシックレコード」

にアクセスすることによって得られたと言われています。

 

これは、一見、ホワイト・イーグルという霊的存在からグレース・クック

という霊媒への通信、あるいはシルバー・バーチという霊的存在からモー

リス・バーバネルという霊媒への通信という形態とは異なるように見え

ますが、エドガー・ケイシーの場合も、彼が霊媒の役割を担い、彼に情報

を与えた霊的存在がいたと考えてよいと思います。

 

さて、ケイシーの霊的な治療活動は、彼自身が別の人格、催眠時人格の導き

により失声症を克服し、さらに自身の病のみならず、他の人々のさまざまな

病に対する治療法をも教えたところから始まっています。

 

覚醒時のケイシーは、医学の知識をまったく持っていなかったため、この

ような行為は許されないのではないかという危惧を覚えていたが、通常の

医療から見放されて苦しむ人々の要請を拒絶することもできず、彼らの

相談に応じ続けたようです。

 

そして、このようにして始まったケイシーのリーディングは、1902年

から1945年に亡くなるまでの43年間にわたり、8千人以上、口述の

速記録1万4千ページ以上という膨大な量にのぼったということです。

 

これらのリーディングのうち、6割が肉体の診断(フィジカル・リーディン

グ)で、2割が人生の診断(ライフ・リーディング)、そして残りの2割が

その他に分類されますが、大きく分けると、フィジカル・リーディングと

ライフ・リーディングの二つに分けられます。

 

最初は、フィジカル・リーディングからはじまったケイシーのリーディング

ですが、あるとき、ある人物が介入することから、ライフ・リーディング

と称するものが始まるのです。

 

ケイシーにとってその大きな転換となったのは、1923年にアーサー・

ラマースという人に出会ったことであるようです。ラマースの職業は印刷

業者であったが、宗教や哲学ヘの造詣が深く、彼はケイシーに対して、

催眠時の人格に宇宙の構造や人間の霊魂というものについて尋ねてみる

ことを提案したようです。

 

ラマースの提案に従って、それを試みた結果、催眠時のケイシーが答えた

のは、人間の霊魂が宇宙の法則に従いながら「輪廻転生」を続けている

ということでした。

 

それまでケイシーは敬虔なキリスト教徒として日常生活を送っていたため、

その回答を聞いて大いに当惑したが、徐々にその霊魂観を受け入れるよう

になっていったようです。

 

かくして、ラマースはケイシーに、病気治療を目的としたこれまでの診断

(フィジカル・リーディング)に加え、過去の転生の経緯を含む、人生

全体に関する相談(ライフ・リーディング)にも応じるように助言したと

されるのですが、ここで留意すべきは、ラマースの宗教や哲学に関する

知識は、明らかに神智学に基づくものであったということです。

 

ケイシーと面会した際にラマースは、ブラヴァツキーが論じた人間の魂の

あり方や、その地上での目的について語っていて、ラマースは、神智学の

霊魂観が果たして正確なものなのか、リーディングによって裏づけを

とってみようと提案し、ケイシーはそれを了承したようなのです。

 

もっとも、「実際のところ、ケイシーとラマースの交流とは、ケイシーが

ラマースの質問に回答したというよりも、ラマースがケイシーに対して、

彼の活動の理論的背景となるものを教えたという方が、より事実に

近かったのではないだろうか」と太田俊寛氏は、著書『現代オカルト

の根源』で述べています。

 

ただし、「転生」あるいは「再生」という現象、概念のソースは、

ケイシーに関与した霊的存在からのものであって、単なる神智学の

知識によるものではないと思われます。

 

「転生(再生)」というものを前提とした、今生における様々な現象の

原因としてのカルマの概念は、神智学固有のものではありません。

それは古来より言われてきたことであり、非常に重要なことです。

非常に重要な問題ですが、以前に何度か記したことがありますので、

ここではそのことには触れないこととします。

 

今回、問題となるのは、「転生(再生)」の真偽ではなく、それが神智学

に依拠しているのではないかということでもなく、「転生(再生)」を

語るリーディングに対し、吹き込まれた神智学の知識が何らかの歪みを

もたらしたのではないかということです。

 

もっとも、彼のリーディングに歪みをもたらしたのは、神智学のみならず、

それ以前に、キリスト教の教義であったのであり、ケイシーに働きかけた

霊的存在は、まず、キリスト教によって植え付けられた観念の頑強な抵抗

に会ったのではないかと思われます。

 

つまり、ケイシー自身がキリスト教のドグマによる抵抗に遭い、葛藤し

ながらも、ライフ・リーディングによって、「転生(再生)」とカルマの

関わりにまで行き着いたのは良かったとして、転生(再生)というもの

が時代をさかのぼり、アトランティスにまで範囲が及んだときに神智学に

よる歪みが発生したのではないかということです。

 

ケイシーのライフ・リーディングによれば、地球に人類が出現したのは、

今から1千万年前のこととされます。そのころの人類は、まだ肉体を有

しておらず、霊的な身体で存在していて、両性具有だったともいいます。

 

また、地球の地理的条件も現在とは大きく異なっていた。地球はこれまで

何度も「地軸の移動(ポール・シフト)」が起こっており、そのたびに

気候が大きく変動するとともに、大陸の隆起や沈没が生じたとされます。

 

そのほか、人類が初めて高度な文明を築いたのは、約10万年前のアトラン

ティス大陸であったこと、当時の地球は、獰猛な動物たちが数多く徘徊して

いていたが、その襲撃に対抗するために高度な科学技術を応用した兵器を

開発し、動物たちを撃退したこと、人間たちのなかには、意識の水準を動物

と同調させることにより、半人半獣の姿に変身する者たちが現れたが、彼ら

は己の本質を忘却し、物質的快楽や攻撃的衝動に身を委ねてしまったこと、

その彼ら(「悪魔の子ら」)と「神の掟の子ら」との争いによって、アトラン

ティスは三度にわたって破局を迎えるが、紀元前一万年前に起こった三度目

の破局によって大陸自体が水没してしまったこと、などが語れています。

 

これらは、ブラヴァツキーの『シーレット・ドクトリン』の歴史観に似て

いるとされますが、アトランティス期の出来事が詳細に描写されている点、

また、その際に蓄積されたカルマによって、現代の文明にも滅亡が迫って

いるという終末論が説かれる点に特徴があります。

 

さて、このストーリーの問題点はどこにあるのでしょうか?

 

以前にも紹介したことがありますが、水波一郎氏の著書『神体』において

展開された太古の人類の歴史を再度ふり返りながら、問題点を浮かび上が

らせてみたいと思います。

 

『神体』では、最初、幽体という霊的身体をまとい、幽質という質料の世界

に住んでいた現生人類がこの地上(物質界)に降りて動物の身体(肉体)を

まとったのが今から1万1千年前で、最初に降り立った地が「ムー」という

地であり、6千年前に「ムー」が沈んで、移り住んだのが「アトランティス」

あった、そして「アトランティス」もわずか千年で沈んだ、と述べてられて

います。

 

これに対して、ケイシーのリーディングは、地上に降りて肉体をまとう以前

の人類も、「ムー」という地に高度な文明を築いた人類も、そして「アト

ランティス」に移り住んだ人類も全部アトランティスでくくられています。

そして、その時間の幅が少なくても10万年という非常に長いスパーンに

なっているのです。

 

人類の発生を1千万年前と述べたあと、ケイシーがアトランティスの年代

について具体的に述べているのは、「ラムがインド入りする約10万年前」

といった箇所です。

 

このように具体的に年代を述べているケースはそう多くはありません。

そのほかには、最初の破壊期がやってきたのは紀元前5万年、第二の

破壊期が紀元前2万8千年、そして、第三の破壊期、つまり大陸の沈没

が先に紹介したように紀元前1万年前、といった年代が述べられている

程度です。

 

ここには、神智学における「七つの根幹人種」論の影響があるのかも

しれません。神智学では、七つの段階のうち第四段階をアトランティス

期(第四根幹人種)としているのです。

 

もっとも、神智学では、W・スコット=エリオット著、『アトランティス

およびレミウリア物語』をベースにしながら、アトランティスの時代を

百万年とし、3回の大変動で水没したとされるのですが。

 

よって、過去世がアトランティスであったとする人物のリーディングを

見ると、その人の生きた時代の状況はかなり詳細に述べられているのに

対し、それがいつの時代かがきわめて漠然としていたり、信じられない

ような太古であったりするのではないかと思います。

 

さて、ケイシーは、これだけにとどまらず、さらに変貌をとげてゆきます。

 

ケイシーは、アトランティス滅亡の経緯が現代に世界にも影響を及ぼして

いるという観点から、20世紀における数々の天変地異の発生を予言する

ところにまで至るのです。

 

具体的には、地球はアメリカ西側で分断されるだろう。日本の大部分は

海中に没する。アメリカ東岸沖に陸地が出現するだろう。北極と南極に

大異変が起こり、それが熱帯の火山噴火を誘発し、その後に地軸が移動

するだろう。その結果、今まで寒帯あるいは亜熱帯であったところが熱帯

となり、コケやシダの類いが生い茂るようになるだろう。これらのことは

1958年から1998年の間に始まるだろう、などということの予言が

なされています。

 

そして、1998年にキリストが再臨し、その際に「神から選ばれた印」を

持つ者のみが救済されるだろう、とまで予言しているのです。

 

これには、『ヨハネ黙示録』の終末論の影響が見られるとともに、20世

紀末における終末と救済とは、人類が新たに「第五根幹人種」へと進化

するものとするなど、神智学の根幹人種論の痕跡が見受けられます。

 

しかし、結果的にケイシーの予言はほとんど当たることがありませんで

した。そして、このような予言のミスが彼の評価を大きく落として

いったのです。

 

確かに、ケイシーはフィジカル・リーディング、つまり霊的治療の分野で

すぐれた働きをしたと思います。そして、ライフ・リーディングにおいて

も、過去世とそのカルマの影響ということについて、キリスト教の教義に

よる呪縛に悩みながら、曲がりなりにも明らかにしてきました。しかし、

彼がアトランティスについて、その時代の状況を詳しく語ろうとし、

さらにそれに基づいて近未来の予言をなすに至った時、一線を越えて

しまったのではないかと思います。

 

ケイシーの息子であるヒュー・リン・ケイシーは、のちに「もしエドガー

・ケイシーがアトランティスについて語ることがなかったら、どんなに

やりやすかったかと思う」と述べていますが、そうなってしまったのは、

神智学の知識やキリスト教の教義の混入とあいまって、予期しないほど

世の多くの人たちの注目を浴びたことが彼の人生の負担になり、世間の

評価に心を揺らすことによって、当初は、かなり正確であった通信が

徐々に阻害されていった結果ではないでしょうか?

 

特に、予言に時期を明記したことは、致命的であったように思います。

しかし、予言の目的とは、当てることではなく、そういった状況が

到来しないように警告することであるならば、ケイシーの予言も一定
の意味を持った
のではないかと思います。

 
 
 
 
  
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「霊界通信」の真偽-ホワイト・イーグルと神智学2-


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神への帰還 



ホワイト・イーグルの書物で『神への帰還』というのがあります。原題は

Beautiful Road Home」で桑原啓善氏による邦訳ですが、もう一冊、大内

博氏の翻訳本が出ていて、その邦題は『故郷に帰る道』となっています。

タイトルの付け方一つで、印象が大きく変わるものですね。

 

さて、今回は、ホワイト・イーグルにとどまらず、スピリチュアリズム全体

と神智学との関わりについて述べたいと思いますが、その前に、もう少し

ホワイト・イーグルと神智学の関係について補足しておきたいと思います。

 

ホワイト・イーグルは、しばしばイエスの言葉を引用していますが、彼が

キリストというとき、それはナザレのイエスという歴史的な人物そのもの

ではなく、その内実であるキリスト神霊、太陽ロゴスというものにウエイト

が置かれているようです。

 

ホワイト・イーグルは『光への道』の中で次のように述べています。

 

人類が意識の進化の階段を昇ってゆくと、太陽意識、つまり太陽ロゴス意識

の段階に至るとしながら、<皆さんは神の子とかキリストとかいうと、どう

も上面だけで話をします。皆さんのキリストとは観念なのです。一部の人々

だけがキリスト霊を、優しく柔和で愛に満ちたもの、自分の中にあるものと

完全に一つであるものとして認めています。あなた方には、あの太陽ロゴス

のはかりしれぬ光輝は、とてもじゃないが理解はできません。太陽ロゴス

とはすべての人間の生命なのです。そして、この惑星と太陽系の生命なの

です。>

 

<この太陽力が、程度は少ないが皆さん内にあることを憶えていなさい。

それは内在しているのです。><魂が太陽ロゴスの、即ち天界の輝く太陽で

あり、父なる母なる神の一人子である太陽ロゴスの崇敬と讃仰を感じる時、

魂は自分のうちに湧き立つものを感じるでしょう。>

 

これだけでは少し分かりにくいのですが、この太陽ロゴスとは何かという

とシュタイナー人智学などにおいて、主神とされるものです。このロゴスは

太陽に住む六柱の神々の集合体であり、本来は七柱であるが、七番目は月に

いるとされます。太陽に住む六柱の集合体(ロゴス)には、父と子と聖霊と

いう三つの側面があり、父(第三ロゴス)は自然界を形成し、子(第二

ロゴス)は生命を生み、聖霊(第一ロゴス)は人間に意識を授けたという

ことです。ロゴスの最も霊的な部分(アートマー体)は太陽に、生命霊

(ブッディ体)は地球の大気に、知的な部分(メンタル体)は人間の中に

いるとされます。七番目のヤーウェは、ロゴスの一部を細分化して、人類

に与えたのだそうです。

 

なお、神智学では、ロゴスは両性具有で、七柱の神々を内に秘めていると

されます。そして、これをさらに救世神と犠牲神に分けているのは、前回、

紹介したとおりです。

 

ここから、ホワイト・イーグルは、キリスト=太陽ロゴスという人智学

(神智学)の概念をほぼそのまま踏襲していることがわかります。人智学

(神智学)の論説を踏まえて始めてホワイト・イーグルが言わんとする

ことが理解できるのです。

 

さて、もう一つ、ホワイト・イーグルと神智学の関係で気になることが

あります。それは、「正しいチャクラの開き方」が説かれていることです。

チャクラとは、もとはヨーガで使用された言葉で「輪」の意味し、エネル

ギーの七つの結節点を指します。

 

ホワイト・イーグルは、次のように述べています。

 

<日常生活で右に述べた素朴な霊的な生き方(自己を棄て、相手の立場に

立って考え、英知と、日常生活を愛と奉仕に生きるという生き方)をひた

すら実践すれば、魂の窓は浄化されざるを得ないし、窓(チャクラ)は

天界の生命に向かって自然に開かれざるを得ないのです。たとえば、本当

の愛と奉仕を実践すれば、心臓のチャクラが刺激されます。すると咽喉の

チャクラが開き光を放射し始めます。また頭のチャクラが優しく目覚め

させられ、開いて、神智の通路となり始めます。また、体の下方にある

下級三つ組チャクラも、前より美しい形をとり始め、上級三つ組みチャクラ

のコントロールをうけその支配下に入っていきます…即ち、キリスト人、

内在の神の英知と愛と力の統制下に入ります。>

 

ただし、危険を伴うチャクラの開き方があるとも述べています。魂の前

には、二つの道が開かれていて、一つは、愛の道、すなわち深遠の道。

一つは、強制して開く、すなわちオカルト的な道があるというのです。

 

<強制開花の場合は、多大の注意が必要とされます。強制開花は慎重さが

ないといけません。いったん花が開いてもしぼむかもしれないのです。

ですから、花がしっかり命と力を持つまで、花をつけた木は注意して扱われ

ないとだめ>だということです。

 

また、人類には、小イニシエーションと大イニシエーションの二つのタイプ

のイニシエーションがあり、小イニシエーションの方は、人間の生活の中で

次々と体験されるが、大イニシエーションの方は、明確な霊的経験だと述べ

ています。

 

<大イニシエーションは、見習の道を歩いてきた人たちが体験します。この

イニシエーションで上位の三つ組のチャクラ、心臓・喉・頭のチャクラが

鼓舞されます。しかしこの三点を、下位三つ組のチャクラ、太陽神経叢・

仙骨・根のチャクラと切りはなしてはなりません。下位の三点も大イニシ

エーションと関係があります。これらすべての光点は、道を進むにつれて

生命と力を増していくのです。>

 

<人間の霊は、小さな光のようなもの、つまり、太陽から出た生命の火花

です。太陽といっても空にある太陽ではありません。その太陽の背後に

ある太陽、つまり永遠なる宇宙霊太陽です。われわれすべてはその太陽

から息吹き出た小さな炎のようなものです。そうして進化の過程の間に、

この小さな光は成長し、遂には光眩しい太陽星、キリストになります。>

 

さて、前回も紹介した神智学徒のリードビーターは、『チャクラ』という

書を著わしていますが、それの主な特徴は、伝統的なヨーガの修行法が

神智学の理論に照らして再解釈されていることです。

 

古典的なヨーガの理論においては、七つのチャクラが段階的に覚醒する

にしたがって、修行者の魂が大宇宙と合一してゆく経緯として描かれるが、

リードビーターはそれを、ブラヴァツキーの七段階の周期説や世界構造論

と融合させているのです。

 

彼によれば、世界の頂点に位置する神は「ロゴス」と呼ばれ、そこから

流出する三つの力によって、七層からなる世界と身体が形成されるとされ

ます。伝統的なヨーガにおいては、「微細身」や「原因身」といった身体

上の用語が存在するが、リードビーターの『チャクラ』においては、

それらが「アストラル体」や「エーテル体」といった神智学用語に置き

換えられています。

 

リードビーターは、人間はチャクラを覚醒させることによって、肉体を包み

込む霊的身体の存在のみならず、宇宙における霊的次元の多層性を知覚する

ことができる、つまり、霊能力を開発することができると述べているのです。

 

ここからも、ホワイト・イーグルがヨーガ理論を再解釈した神智学をさら

に再解釈して流用していることが伺われます。

 

なお、水波霊魂学では、水波一郎氏の著書『瞑想の霊的危険』のなかで、

瞑想の副作用について、また、チャクラの開発にかかる危険性について

詳しく述べられていますので、関心のある方は読んでいただきたいと

思います。

 

さて、かなり前になりますが、「神智学とスピリチュアリズム」という

タイトルで、その時は、両者の違いについて述べました。

 

そこで、神智学の側からなされた批判として、スピリチュアリズムの霊媒

は、自我の断絶があり、受動的で、主体性を放棄している、つまり、意志

を持たない。あるいは、高貴な霊的存在からのメッセージではなく、死後、

あまり年月の経過していないような一般的な死者からのものである、

よって、論理的、哲学的な体系を持たない、などというものでした。

 

一方、スピリチュアリズムの側からは、地上の人類に必要なのは神学の

ような大げさで難解な哲学ではなく、どこの宗教においても説かれるに

至ってない単純な真理であると言った反論や、死後間もない霊魂が、

「死は終わりではない」と語ることは、語られる内容とあいまって、

少なくとも残された身近な者たちにとって、死後生存の信憑性を高める

ための最初の一歩として大きな意味を持ち得る、といった主張がなされた

のでした。

 

しかし、今度は、逆に共通点に目を向けると、上記のような表面的な

対立の裏に、なるほどと思える類似点が多々浮かび上がってくるのです。

 

特にホワイト・イーグルと神智学の関わりについては、ブラヴァツキーの

生涯における思想遍歴をたどると多くのヒントが与えられると思います。

 

(ヨーロッパ期)

青年時代にヨーロッパや北アフリカやアジアの各地を遍歴する過程で、

西洋オカルティズムの知識を習得。高名な霊媒の助手などを務めながら

エリファス・レヴィの魔術論を始め、グノーシス主義、新プラトン主義、

ユダヤ教カバラ、ドイツ神秘主義等の教義を学ぶ。

(アメリカ期)

アメリカに渡り、心霊主義(スピリチュアリズム)の活況を目にする。

当時の社会では、ダーウィンの進化論とキリスト教の教義である創造論

との対立が生じていた。ブラヴァツキーは、科学と宗教の矛盾を解決する

ため、神智学を創始する。

(インド期)

神智学協会の本部がインドに移転される。人種・文化論として、アーリ

アン学説が取り入れられる。ヒンドゥー教や仏教の影響が濃厚となり、

神智学の体系に輪廻転生論が組み込まれる。

 

とにかく、ブラヴァツキーは、当初は、ヨーロッパで最高レベルの霊媒で

あり、心霊実験に参加するなど、スピリチュアリズムとは友好的な関係に

あったのです。しかし、だんだん対立が生じてきて、ブラヴァツキーに

疑いの目が向けられることになります。その結果、心霊研究協会の厳しい

検証が実施されることになり、ブラヴァツキーの虚偽性を非難する報告書

の発表がなされるのです。

 

これにより、神智学協会は大きな打撃を受け、ブラヴァツキーはインドを

退去し、イギリスに渡るのですが、それでも彼女に対する非難は止まず、

世評から距離を取るようになり、書物の執筆に没頭するようになったと

いうことです。

 

これらのことから、神智学とスピリチュアリズムは、お互いに対立しな

がらも、影響し合っていたことが伺われます。

 

しかしながら、それでもなお、なぜ、シルバー・バーチがホワイト・イー

グルを同志と言ったのかについては、しっくりしないものが残ります。

 

あえて、共通項を探すとすれば、両者とも、とにかく、愛、つまり、愛の

思い、愛の行為を最も強調しているように思われます。

 

シルバー・バーチは、愛というものを核としてスピリチュアリズムという

枠組みの中で過去の諸説を折衷し、それをつぎ足して大衆化しようとした

存在であり、ホワイト・イーグルのほうは、神智学や西洋神秘主義の枠内

で過去の諸説をつぎ足して大衆化しようとした存在である、と言えるのでは

ないだろうかと思われます。

 

なお、誤解のないように言っておきますと、愛ということを強調するから

それらは高貴な存在からの通信であるということではないということです。

 

水波一郎氏の監修によるHP『霊をさぐる』の「霊をさぐるためには?」

では、本物の霊界通信かどうかを判断する手掛かりについて次のように

述べられています。

 

<何かと『愛』を強調する霊界通信は偽者である可能性が高い。>

 

「愛という言葉は誰であっても本物だと感じやすい言葉なので、まずは、

愛を語るものなのです。誰かを殺せとか、地球を征服せよとか、誰が見

ても悪人に見えるような悪人は、単なる精神の病気と言えます。偽物は

基本的に、「本物であるかのように見せたい」のです。」

 

<精神論、倫理道徳が多い(具体的な技法や技術を示さない)霊界通信は

偽者である可能性が高い。>

 

「偽物は頭で勉強した知識だけですので、具体的な技法や技術については

分からないのです。その為、いわゆる訓示ばかりになってしまいます。

思想的な事は各種の宗教や神秘思想を勉強すればするほど高度に語ること

ができるからなのです。」

 

したがって、「日本でも西洋でも、高級な霊魂から通信を受けたとして

有名になっているものがいくつもあります。ですが、霊魂学の視点から

見ますと、それをそのまま信じてはいけないように思われます。」<西洋

でも高級な霊魂の集団が霊媒現象に関与した事は確かなようです。ですが、

実際には失敗が多く、成功しても、日本で有名になっていない可能性も

考えられるのです。」「個々には一定の価値のある通信もあるでしょうが、

もう時代が変わりましたので、どの通信も、そろそろ注目する必要もない

のではないかと思われます。>とのことです。

 

とにかく、他者を押しのけてでも自分が物を食べなければ生きられない、

他の生命体を犠牲にすることによってしか生きられないというこの物質

世界において、その厳しい現実を直視せず、ただ観念的に愛ばかりを

叫ぶことは、自己欺瞞にしか至れないということなのでしょう。








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ホワイト・イーグルと神智学


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 光りへの道
 
 
以前、一度、紹介しましたが、スピリチュアリズム普及会のHPでは、

ホワイト・イーグルについて、「シルバー・バーチは、ホワイト・イーグル

を同志と呼んでいますから、“通信霊”としては高級であることは間違い

ないと思われますが、「霊界通信」として見たときに純粋なものとは言え

ません。」「霊界通信の純度という観点からすると、ホワイト・イーグルの

霊界通信には多くの問題点があります。「霊媒の潜在意識の混入」が随所

に見られます。キリスト教の影響、神智学の影響が濃厚に見られ、通信

内容の純粋さという点で大きな疑問符が付きます」と述べられていました。

 

そこからは、基本的には、シルバー・バーチとホワイト・イーグルは、

同志的な関係にあること、ただし、ホワイト・イーグルの通信は、高級

ではあるが、霊媒の潜在意識の混入があり、神智学、そしてキリスト教の

影響が見られる、と見ていることが伺われます。

 

しかし、あれだけ神智学を、たとえば、七つの霊的世界論、身体論などを

批判していたシルバー・バーチが、ホワイト・イーグルを一方で同志だと

いうのか理解に苦しみます。

 

そこで、今回は、ホワイト・イーグルの『光への道』を紹介しながら、

ホワイト・イーグルと神智学の関係がどういったものなのか、「霊媒の

潜在意識の混入」といったレベルのものなのか、を考えてみたいと

思います。

 

さて、この「光の道」というのは、霊性進化への道を指しているようで、

そこへ参入すること、或いは、その階梯を昇ってゆくことをホワイト・

イーグルは、「イニシエーション(魂の得度)」という言い方をしています。

 

この「イニシエーション」という言葉は、一般的に通過儀礼、つまり、

「ある集団や社会で一人前の成員として認められるための儀式」を指す

言葉として使用されています。ただし、そのほかに、霊的、宗教的な組織

における修行体系への入門、さらに、その修行過程における幾つかの関門

をクリヤーしてゆくことを意味しますが、この場合は後者を指しています。

 

よって、「イニシエーション」という言葉は、ルドルフ・シュタイナー

などは、秘儀参入という言い方をしているようですし、神智学においては

秘伝と翻訳されたりしています。

 

さて、このような意味を持つ「イニシエーション」という言葉は、神智学

におけるキーワードの一つのはずです。

 

神智学徒のアリス・ベイリーは、彼女の著書『イニシエーション』の中で、

<秘伝(イニシエーション)という言葉は、開始すること、あるいは、

霊的生命において新しい段階に入ることである。それは“聖なる道”の

第一歩であり、そしてそれに続く歩みである>とし、また、<イニシエー

ションに関する問題は、一般大衆の間でもしばしば語られるようになって

きた。何世紀もたたないうちに古代の秘儀が復興され、“教会”の中に

内部組織ができてくるであろう。その教会とは数世紀後の教会であるが、

その中核となるものはすでに形成されている。この教会では、第一イニシ

エーションが顕教的なかたちで行われるだろう>と述べています。

 

また、神智学徒のリードビーターは、その著著『大師とその道』において、

人間の生きる目的は、自己の霊性を進化させることであり、それを順調

かつ確実に遂行するためには、大師(マスター)たちが定める指針に

従わなければならないとし、大師に接触するための方法として、さまざま

な宗教の教えを学習すること、とりわけ神智学によって示されたヨーガや

瞑想を実践することにより、精神の波長を大師のそれに合わせてゆくこと

を推奨しています。

 

そして、大師に出会うことができた人間は、次に、大聖同胞団(聖白色

同胞団)の一員となるためにイニシエーションを受けることになる。

イニシエーションは九つの段階から構成され、どのイニシエーションの

段階までを通過したかということに応じて、その人間が同胞団の「ハイ

アラーキー(階級組織)」において占める地位の区別がなされとされます。

 

さて、ホワイト・イーグルの『光への道』を読んでみると、基本的に、

上記のような神智学でいう「イニシエーション」の枠組みを踏襲して

いるように思われます。ただし、特定の修行団体への入門を前提にして

いるものではく、人生即イニシエーションということを語っています

から、実際にイニシエーションに参入するための準備のための書と

いう印象を受けます。

 

とはいうものの、本書には、大師や聖白色同胞団(ブラザーフッド)や

瞑想とチャクラの開発について触れられているところをみると、神智学

的な教説の大衆化という意図がくみ取れるのではないかと思われます。

 

なお、『光りに道』では、四大元素や、十字架が登場します。

 

四大元素とは、古代ギリシャ哲学で提唱された世界を構成する四つの元素

のことで、「地」「風」「土」「火」の四つを指しますが、のちに錬金術に

大きな影響を与えたとされます。そして、この四大元素説は、錬金術師

たちによって占星術と結びつけられたということです。

 

『光りの道』では、イニシエーションを受けるにあたって、風の元素の

学習、すなわち友愛の学習、そして火の元素の学習、すなわち愛、魔法

の火の学習、そして水の元素のコントロール、すなわち平和の学習、

さらに土の元素の学習、すなわち奉仕と犠牲の学習を経なければなら

ないとされています。

 

また、十字架についても語られています。具体的には、最初のイニシ

エーションにおいて、「人は空の彼方に、はるか高くにかかる十字架を

チラリと見ます」と述べてられています。しかし、この十字架は生命の

象徴を意味し、イエス刑死の象徴と受け取るのは誤りだといいます。

 

この十字架は太古からあり、霊的進化のある段階まで来れば全ての人が

見るシンボルである。また、この十字架は、低級な性質の放棄、自己

本位の欲求の放棄、すなわち、神の意志への完全な捨身、愛の奉仕に

打ち震えたものの象徴であると述べています。

 

そして、さらにバラの花が登場するのですが、そうなると、十字架と

バラ、すなわち、西洋における秘教的伝統の一つである薔薇十字の行法、

薔薇十字の秘儀参入(イニシエーション)を想起せざるをえません。

 

ルドルフ・シュタイナーは、『薔薇十字会の神智学』において、薔薇十字

の秘儀参入について、次のように述べています。

 

<叡智へと飛翔する最も新しい道は、薔薇十字の修行道です。この修行道

は過去ではなく、未来を修行者に示します。><一定の方法によって、

人間が自分の中に有している叡智を発展させるのが薔薇十字の行法です。>

 

<これは非キリスト教的な道ではなく、現代の状況に適応したキリスト教

的修行道であり、本来、キリスト教的修行道と(東洋的な)瑜伽(ヨーガ)

道の中間にあるものです。>

 

<薔薇十字的修行道においては、イエス・キリストの人格に対する確固と

した信仰という前提は多かれ少なかれ、廃止されます。>

 

<薔薇十字の修行も七段階からなります。>そして、 最初の段階に学習

がありますが、<薔薇十字的な意味における学習とは、物質的現実では

なく、高次の世界から獲得された思考内容への沈潜、すなわち、純粋思考

の中に生きることです。><薔薇十字的神智学を学ぶことが薔薇十字的

修行の第一段階なのです。>

 

<薔薇十字の導師は人類の進化を語り、感情がおのずと目覚めるように

するのです。薔薇十字の導師は宇宙の事実そのものに語らせます。>

<ですから、薔薇十字の修行においては、師に対する絶対的な帰依は

要求しはしません。><師は弟子に、師なしにも存在する宇宙的真実を

語るのです。>

 

以上のことから、薔薇十字的行法なるものが現在において果たして価値を

持っているのかどうかは別にして、ホワイト・イーグルは、神智学のみ

ならず、その他の雑多な西洋における神秘主義の教説をも取り入れて、

それを大衆化しようとしたことが伺われるのではないかと思われます。

 

しかしながら、ホワイト・イーグルが借用した神智学そのものにまで

さかのぼってみると、太田俊寛氏が『現代オカルトの根源-霊性進化論

の光と闇-』において、「全体として見れば、ブラヴァッキーが構築した

神智学の教説とは、西洋オカルティズムの世界観を基礎に置きつつ、秘密

結社・心霊主義(スピリチュアリズム)・進化論・アーリアン学説・輪廻

転生論といった雑多な要素を、その上に折衷的に積み重ねていったもの

と捉えることができる。その意味において神智学は、古代以来の西洋的

隠秘主義(オカルティズム)や秘教主義(エソテリズム)の伝統に連なる

ものであり、その現代的亜流にすぎない、言わなければならないだろう」

と述べているところから、霊魂からの通信という形態をとって神智学を

大衆化しようとしたと思われるホワイト・イーグルにおいて、どんな教説

が出てきても不思議ではないと言えるのではないでしょうか?

 

よって、ホワイト・イーグルについては、「霊媒の潜在意識の混入」と

いった霊媒の問題ではなく、通信を送った霊魂、あるいは霊魂団の意図

が反映されている可能性が高いように思われます。

 

もっとも、水波霊魂学によると、西洋の「霊界通信」は、霊媒が総体的に

そのための霊的修行と訓練を経ていないため、通信を送りうる霊魂は、

それほど意識の高い方の霊魂ではなく、真実が表現されることは少ない

ということですが。

 

次回は、ホワイト・イーグルという枠を越えて、スピリチュアリズムと

神智学の関係をもう少し掘り下げてみたいと思います。

 

 
 
 
 
 
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今回は、心霊研究と決別し、大衆化へと向かったスピリチュアリズムは、

どういう変化を遂げていったかを、シルバー・バーチとホワイト・イーグル

に焦点を当てて見てゆきたいと思います。

 

どちらも、アメリカ先住民の名を名乗り、1920年頃から1960~80

年頃に活動しており、お互いを同志のように考えていて、基本的に主張も

一致するところが多いとされます。

 

ホワイト・イーグルの方は、どちらかというと、内容がより抽象的ですので、

より大量の通信を世に送り出し、多様な領域についてより具体的に語って

いるシルバー・バーチの主張を見てゆきたいと思います。

 

とは言っても、厖大な通信量で、非常に多岐にわたりますので、その特徴

が簡潔にまとめられている「スピリチュアリズム普及会」の公式ホーム

ページに依りながら、ごく基本的なところを紹介してみたいと思います。

 

そこでは、「シルバー・バーチの霊訓」は、次のような意義、特色がある

としています。

 

<世界三大霊訓の一つである>

 

アラン・カルデックの『霊の書』(「再生」を全面的に押し出し、「再生論」

を思想の軸としてすべての霊的知識を体系化している)と、ステイトン

・モーゼスの『霊訓』(キリスト教的世界観との対決、霊界から示された

「霊的真理」を地上で最強の勢力を誇るキリスト教にぶつけ、理論闘争

を展開するという形を取っている)を最終的に統合し、さらに深化を図っ

たものが「シルバー・バーチの霊訓」であり、最も優れた通信である。

 

つまり、長い間、決着がつかなかった英国系スピリチュアリズム(再生を

否定)と仏国系スピリチュアリズム(再生を肯定)の分裂を統合させた。

 

<イエスを中心とする地球圏霊界の高級霊が結集して、計画的に進めて

いる「地球人類救済プロジェクト」である>

 

霊的無知は、“物質至上主義”と“エゴイズム”を発生させた。イエスを

はじめとする何百億という高級霊によって、地上世界に「霊的真理」を

もたらすための計画が立てられた。心霊現象の演出と心霊研究という形で

始められることになった。「心霊現象」はどこまでも「霊界通信」の前座と

して演出されたもの。「霊界通信」によって、地上人の救いのために最も

重要な「霊的真理・霊的知識」をもたらすことが、イエスを中心とする

霊界の大霊団の戦略だった。シルバー・バーチは大霊団の代弁者であり、

自らも「大霊団のマウスピースである」と述べている。それは、まさに

人類史上最高の霊界通信であり、他の霊界通信とは比較にならないもの

である。『シルバー・バーチの霊訓』は、地上のスピリチュアリズムに

正しいスタンダード(基準)を示すという使命を担って登場した。これに

よって地球上のスピリチュアリズムは新しい時代を迎えようとしている。

 

<スピリチュアリズム思想の集大成であり、地球上の宗教思想の最高峰で

あり、人類史上最高の啓示・地球人類共通のバイブルである>

 

シルバー・バーチは、イエスが主宰する大審議会への出席を許され、特別

な使命を与えられ、直接イエスと会話できる存在。地上に再生する必要が

ない段階にまで進化した立場から通信を送ってきた。その結果、スピリチュ

アル運動の勝利宣言、地球人類救済計画の成功宣言となる。

 

「霊釧」は、霊的知識に基づく生き方の、具体的な手本を示してくれる。

結論的には、利他的生き方・摂理にそった生き方に心がけ、真実の愛を

実践することとなる。

 

霊媒現象に付きまとう「霊媒の潜在意識の混入」という厄介な問題も克服

し、100パーセント純粋な最高次元の霊界通信が実現することになった。

 

スピリチュアリズムは、霊界で共通に行われている「神への信仰」を、

地上世界に展開しようとする計画である。地球人類が「霊的事実」に

立った“真の祈り”を知ることができるようになった。

 

さて、以上のようにシルバー・バーチが主張していることは、新しい時代

の宗教教義の宣布ということのようですから、これらは、最終的には、

検証できないことであり、信じるか、信じないかの問題、つまり、信仰の

問題ということになるかもしれません。しかし、心霊研究における科学的、

理性的な探究という歴史的な流れを継承しているという以上、できるかぎり

客観的な見地に立つことが必要ですが、果してそうなっているかどうか、

冷静に眺め、いくつか疑問点を述べておきたいと思います。

 

まず、シルバー・バーチの霊界通信は、ステイトン・モーゼスやアラン・

カルデック、そしてマイヤーズなど、それまでのスピリチュアル思想の

最終的な統合であり、集大成であるとしていますが、まとめではあって

も、特に新たな視点、新しい発見というものが見られないように思われ

ますが、どうでしょうか?

 

かつて、心霊研究と向き合ってしていたころの緊張感が希薄で、新たな

真実の探求へのひたむきさが欠けているように思われます。教義化の

方向性ばかりが目立つのです。

 

シルバー・バーチが特にその独創性を強調する「再生論」についてみても、

アラン・カルデックの再生説やマイヤーズ霊の類魂説がそのベースになって

いるように思われますし、パーソナリティー(人格性)とインディビジュ

アリティーの概念も、人格の死滅と個体性の不滅として従来から存在した

もので、折衷論を越えていないように思われますが、どうでしょうか?

 

そして、<イエスを中心とする地球圏霊界の高級霊が結集して、計画的に

進めている「地球人類救済プロジェクト」である>という記述については、

さらに大きな疑問があります。

 

先に紹介した、「世界大戦の頃、イエスは、霊魂通信により、霊魂の実在と、

霊魂からのメッセージをこの世に示すという仕事を終えて、次の仕事に

取り掛かった」という水波氏の『霊魂イエス』の記述とは矛盾するからです。

 

『霊魂イエス』によると、シルバー・バーチが登場したときは、まさに、

イエス師と霊魂団が、西洋の未熟な霊媒では、より高貴な真実を世に示す

ことができないとして、この事業から撤退していった時期であったのです。

 

どちらに信憑性があるかは、立証できないことですが、<東洋のような霊的

修行の伝統のない西洋の霊媒では、高級な霊魂からの通信を受け取ることは

難しい、霊的な真実が表現されることは少ない>という先の水波氏の発言や、

少し前に紹介した浅野和三郎氏の「今日まで八十年の心霊研究で、かなり

すぐれた霊媒を出ていないこともないのですが、神界はおろか、霊界との

直接交渉さえも、きわめてまれにしか成立していないというのが公平な観察

です」と述べているところからも、シルバー・バーチが、イエスが主宰する

大審議会への出席を許され、特別な使命を与えられ、直接イエスと会話でき

るほどの存在であるというのは、霊的世界の法則を無視していて、納得が

ゆかないところです。

 

そもそも、シルバー・バーチは、死後の世界は、階層はあるが一つである

という見解を示しているように見受けられますが、ここに問題があるように

思われます。つまり、シルバー・バーチは、幽質の世界しか感知し得ず、

それ以上の異質で高貴な世界との接点がなかったことを示しているのでは

ないでしょうか?

 

水波霊魂学では、三つの霊的世界(幽質界・霊質界・神界)があるとされ

ています。そして、イエス師は、現在、幽質界を越えて「霊質の世界」に

おられるということであり、幽界やその上層の霊界(霊魂学では、いずれ

も、幽質の世界)の霊魂がイエス師と一堂に会するということは不可能な

はずなのです。

 

さて、シルバー・バーチのことばかり述べてきて、ホワイト・イーグルに

については触れられませんでしたから、後の機会に述べるとして、少しだけ

触れておきたいと思います。

 

スピリチュアリズム普及会のHPでは次のように述べられています。

 

「シルバー・バーチは、ホワイト・イーグルを同志と呼んでいますから、

“通信霊”としては高級であることは間違いないと思われますが、「霊界

通信」として見たときに純粋なものとは言えません。」「霊界通信の純度

という観点からすると、ホワイト・イーグルの霊界通信には多くの問題点

があります。「霊媒の潜在意識の混入」が随所に見られます。キリスト教

の影響、神智学の影響が濃厚に見られ、通信内容の純粋さという点で

大きな疑問符が付きます。」

 

確かに、少し読んでみて、神智学等の神秘主義思想というものの影響が

見られるということは言い得るように思いますが、同志としている以上、

基本的な思想は、それほど違わないように思えます。

通信の送り手であるホワイト・イーグルにではなく、霊媒のグレース・
クックに問題があるということでしょうか?

 

それより、「霊媒の潜在意識の混入」ということを問題視していますが、

潜在意識の完全なる排除ということは、完全に霊媒の意識を占有すると

いうことであり、霊魂学によると、それは、非常に危険なため、まず、

高級霊魂が行わない方法であるとされていますが、そのあたりは、どう

考えているのでしょうか?

 

とにかく、シルバー・バーチもホワイト・イーグルも、共に霊的な成長の

ためとして、愛に基づく利他的な行為、生き方を説いていますが、特にシル

バー・バーチの場合、単なる表面の心の成長ではない、幽体や霊体などの

霊的な身体とその意識を共に成長、進歩させる技法、霊的トレーニング法に

ついて語っていないことが気になるところです。

 

なお、ホワイト・イーグルの場合は、瞑想、或いはヒーリングについて

語っているようですが、それは、神智学等の影響の問題と関連して考える

必要があると思われますから、後の機会としたいと思います。

 

以上、1930年以降のスピリチュアリズムの代表的な存在の主張について

大雑把に見てきましたが、それらは、1960~80年あたりで終わって

います。

 

では、それ以後、霊的世界の状況はどうなっているのでしょうか?

 

霊魂学によると、ここ数十年で、物質世界、つまり現世も大きく変化しま

したが、霊的な状況も大きく変化したようです。たとえば、守護霊の問題

ですが、今では、守護霊は存在するものの、ほとんどの人は、守護霊との

接点が切れているようなのです。

 

また、以前は、一般の人が、死後、通常行くとされていた、天国でもなく、

地獄のようでもない普通の世界には行けず、下層の世界に落ちて苦しみ、

その結果、地上に舞い戻って、様々な問題を引き起こしているという

ことです。

 

スピリチュアリスト、そして、死後の世界と霊魂の実在を信じる人は、時代

にそぐわなくなってしまった「霊界通信」の教義をただ信じて安堵するので

はなく、霊的世界の厳しい現実を直視するときに来ているのではないかと

思います。

 






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以前に、スピリチュアリズムは、第一次世界大戦をピークに黄金期を迎え、

その後、退潮期に入っていったと記しましたが、完全に衰退してしまった

わけではありません。


 しかし、
大きく変化して行ったこと確かなようです。もはや、貴族や上流

階級や一握りの学者研究家のものではなくなって行ったのです。心霊治療

の流行や、戦争の犠牲者の家族が霊媒を通じて戦(病)死した肉親や友人

とコンタクトをとる、いうことに象徴されるように、その実用性が世間で

評価され、重宝がられるようになるにつれて、スピリチュアリズムは

大衆化してゆき、そして、心霊研究からは遠ざかって行ったのです。

1930年頃を境に心霊研究とスピリチュアリズムは完全に別々の道を

歩むことになるのです。

 

「スピリチュアリズムの宣教師」と呼ばれた、シャーロックホームズ物語

の作者でスピリチュアリストのコナン・ドイルがSPR(心霊研究協会)

との縁を切ったあと亡くなったのが1930年ですが、それと入れ替わる

ように活動を始めたのが、モーリス・バーバネルのシルバー・バーチで

あり、グレース・クックのホワイト・イーグルだったのです。

 

前回、紹介した『近代スピリチュアリズムの歴史』の中で、三浦清宏氏は、

「1930年代を境として舞台ははっきりと回った」として、次のように

記しています。

 

<なぜ19世紀末の短い期間に彼ら(霊媒)が集中して現れたのか、

まったく不思議である。これは単なる流行というようなものではない。

霊能は、いったいどういう文化的蓄積が花開いたものなのだろうか。

むしろ文化的蓄積のないところから突然出現するのが霊能である。

人間が作る文化や社会とは関係なく現れるものなのである。>

 

よって、その理由については、「霊媒の時代が出現したのは、スピリチュ

アリストたちが言うように、宇宙を統一する知性が人類に真理を告げよう

として始めたためなのか(始めたのはいいが、人間たちがあまりに頑迷

なので、一時中止して次の機会を待っているとも言われるが)、それとも、

カール・ユングの言う「共時性」という宇宙意識の潜在力の働きなのか、

それとも単なる偶然でしかないのか、筆者は断言することが出来ない」と

述べています。

 

断言できないと言われても、なぜ、19世紀の末から20世紀の初めに

かけて霊媒現象が活発化し、その後、激減していったのかは大変気になる

ところですので、参考となると思われる水波霊魂学の見解を紹介しておき

たいと思います。

 

水波一郎氏の著書「霊魂イエス(下)」によると、イエス師と高級霊魂団

が積極的に霊魂通信に関わったという時期は確かにあったとされ、次の

ように記されています。

 

最初の霊媒養成の試みが成功とは言えなかったことを踏まえて、「(しかし、

こんどはもっとも本格的な霊媒を育てたい。世界に霊魂の実在、霊魂世界の

存在を証明しうる器を育てたい。)そう思いながら、イエスは何人もの霊魂

と会見した。その中で、霊媒となりたい霊魂に二通りのものが出てきた。

一つは、霊魂の実在、霊魂世界の存在をより強く証明したいという者、もう

一つは、霊魂からのメッセージを伝達したいとするグループであった。これ

らは、どちらも大切である。そのどちらもなくてはならない。前者だけでは

何の益もない。しかし、後者だけでも、世に受け入れられない。まず、前者

を中心に活動し、次に、後者を中心に置く。これが霊魂達の結論であった。

この時から、再び、イエスを中心とした霊魂団の、霊媒養成、そして、霊魂

界と物質界の共同作業が始まることになった。」

 

「こうして何人かの霊媒が誕生した。ただし、後世に影響を与えた霊媒は

少ない。(皆、無名であったと思われる) ニセモノが登場したからで

ある。彼ら、彼女らのもっともらしい演技が、本物より目を引いてしまう

のであった。」

 

(西洋の霊媒現象のもう少し詳しい説明としては、水波氏監修のHP『霊を

さぐる』「霊魂と交信する技術」のなかで、「東洋のような修行の伝統のない

西洋では、良い通信は送りにくい。」「高級と言われる霊魂の思想を表現する

ことは普通の霊媒ではまず無理なのです。それが可能なのは、長い間に渡り、

不可能を可能にするための訓練をした霊媒だけなのです。」「したがいまして、

西洋の霊界通信のように、訓練のない霊媒を使っても、通信を送りうる霊魂

は、それほど意識の高い方の霊魂ではなく、真実が表現されていることは

少ないのです。むしろ、こうした霊魂からの通信は、いずれ、本物が

出るための過渡期に出現する役割があると言えましょう」と述べられ

ています。)

 

 

よって、世界大戦の頃、イエスは、霊魂通信により、霊魂の実在と、

霊魂からのメッセージをこの世に示すという仕事を終えて、次の仕事に

取り掛かった、とされています。

 

つまり、イエスとその直系の霊魂団がこれらの活動に関わったのは、19

世紀後半からの20世紀の始めぐらいであったであろうということです。

その後の活動は、特殊な、選ばれた人より発せられた霊魂通信というもの

から、人間が誰でも自分を訓練することにより霊的に進歩できるようにする

方向に移行していった、すなわち、霊的技法、霊的修行法の必要性を感じ

東洋へ目をむけていくことになったということです。

 

ここから、19世紀後半から20世紀の初めにかけての急激な霊媒たちの

登場と活躍、そして衰退というものは、イエス師とその高貴な霊魂団の活動

と撤退が大きな要因であったという推察が成り立と思います。

 

さて、心霊研究と決別し、大衆化へと向かったスピリチュアリズムは、

どういう変貌を遂げていったのでしょうか?

 

次回は、1920年以降の代表的な「霊界通信」の送り手であるとされる

シルバー・バーチ、そしてホワイト・イーグルの通信内容に焦点をあてて

紹介してみたいと思います。

 

 
 
 
 
 
 
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