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神話的思考-その不思議な思考様式-

最古の哲学 


中沢新一氏は、「人類最古の哲学」の中で、「神話は人間が最初に考え出した、

最古の哲学です。どんな領域のことであれ、人間ははじめにしか本当に偉大な

ものは創造しないのです。」と述べ、また、「「はじまりの哲学」である神話は、

少なく見積もっても三万数千年にもわたる、とてつもなく長い歴史を持って

います。」「ですから、神話を学ばないということは、人間を学ばないという

ことに、ほとんど等しいかと思えるほどなのです。」と主張しています。

 

では、一体神話というものは、どのような特質を持ったものなのでしょうか。

 

神話の特徴は、まず、人間と動物が変身によって互いの位置を入れ替えたり、

お互いの果たしていた機能を逆転させてしまったりと、たえず、ねじれや、

ひっくり返りや、飛躍が起こるところにあるようです。

 

また、それを見たり、聞いたり、匂いを嗅いだり、味覚を味わったりという

ような具体的な感覚で象徴的に表現するところにその特異性があるようです。

たとえば、生命力の象徴を蛇で表したり、大地の豊穣なる恵みを女神、或は

女性で表したりして。

 

さらには、過去、現在、未来、或は、この世とあの世というような時間的、

空間的な制約さえ取り払われてしまいます。

 

そうなると、それはとてつもなく自由に満ちた時空を形成することになり、

ついには、宇宙の始まりや、人類の誕生にまで広がって行くことになります。

 

このような思考様式は、その後、伝説や昔話などの形で継承されて生き続け、

現代に至って、童話やマンガなどを経て、奇しくも科学技術と結合し、アニメ

やゲームなどのバーチャル文化の中で甦えることになりました。

 

しかし、それは核を失ってしまったといいますか、神話というものが持つ本来

の機能を喪失してしまったのではないでしょうか。本来、神聖な物語という意味

を持っていたものが、ホラ話、夢想、作り話という意味に貶められてしまった

ように思います。

 

かくして、現代人は、神話を単なる子供じみたファンタジーと同一視したがり

ますが、本来、神話というものは、「真実」と見なされており、対立する世界、

集団間の闘争、軋轢を調整する、仲介するという社会的な役割をも担っていたと

言われています。つまり、夢想、幻想に見えても、現実的で、具体的な世界を

ベースにしていたようです。

 

さらに、特筆すべきは、その時空を超えた自由な空間は、高級な霊的存在が霊的

なインスピレーションを注ぎ込む受け皿であったということであります。これは、

霊的、宗教的な真理を求める者とって大きな意味を持っていると思われます。

 

しかし、今のアニメやゲームは、現実とは切断された、具体的な世界と呼応関係の

ないバーチャルな世界であり、そこには神話的な思考の意味、内容が捨てられ、

神話的な様式だけが、視覚中心の異様な快楽追及の怪物として勝手気ままに歩き

まわることになってしまったような気がします。

 

このままでは、アニメやゲームは、神話の装いをまといながら、我々を現実の世界

遊離したバーチャルな領域に閉じ込めて、飲み込んでしまうかもしれません。

 

本来の神話は、決して単なる幻想でも、夢物語でもなかったのであり、外なる世界と

内なる心象の区別が曖昧であったと思われる古代の人々に対して、具体的な感覚で

象徴的に物事の本質を指し示す働きをし、現実と想念の間に立って、このふたつを

仲介する絶妙な機能をもったものであったことを改めて認識したいものだと思います。

 

今なお神話的なものが人々の心を引き付けるなら、願わくば、新たなる神話、つまり

物質的な時空を超えた真実を世に示す本当の意味での神話が世に出ることを期待した

いと思います。



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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テーマ : 心、意識、魂、生命、人間の可能性
ジャンル : 心と身体

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