FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

この世界のはじまり-創世神話1-


にほんブログ村

世界のはじまりの物語 



世界の起源というと、まず旧約聖書の「創世記」における<天地創造>や、

「古事記」における<天地のはじめ>やイザナギとイザナミによる<島々

の生成>を思い浮かべます。

 

「創世記」では、<原初には闇が混沌の上にあった。神ヤハウェは「光」

あれと言った。すると光があった。神は光を見てよしとした。神は光と闇

を分けた。神は「水のなかに天蓋があって、水と水を分けるように」と

言った。天蓋の下の水と天蓋の上の水が分けられた。天蓋は天と名づけ

られた。神は「天の下の水は集まり、乾いた所が現れよ」と言った。する

とそうなった。乾いた所は地と呼ばれ、水の集まった所は海と呼ばれた。

そして神は昼と夜と分けるために天に太陽と月を出現させ、また星を

造った>とされます。

 

つまり、「創世記」の天地創造は、一神教の神は万能の神なので、すべて

は神の意志のよる創造ということになります。

 

どうも、はじまりの物語としては直線的で変化に乏しいという印象を受け

ますが、これはいくつかある世界の起源の神話の中の一つのタイプにすぎず、

他に様々なタイプの起源神話があるのです。

 

もっとも、一神教の世界では、旧約聖書外典のダニエル書、新約聖書の

ヨハネの黙示録など、世界の終りについては、逆に、非常に熱心に語られて

います。誤った古い世界の終わりイコール、正しい唯一の神による新しい

世界の始まりだというわけです。一神教にとってのはじまりの物語とは、

間違っている現在の世界が滅びるという終末論に他ならないと『この世界

のはじまりの物語』の著者松村一男氏は述べています。

 

さて、松村氏は、世界の起源の神話のタイプを(1)「創世記」にあるよう

な創造神の意志による創造(あるいは無からの創造)、(2)原人(世界巨人)

の死体からの創造(死体化生)、(3)宇宙卵からの創造、(4)世界両親に

よる創造、(5)進化型、(6)海の底から持ち帰った泥による創造、潜水型

とも呼ばれる、の六つのタイプに分類をしています。

 

なお、(1)は、意志の力によって何かを生じさせることができるという

考え方に立っている。世界の存在以前に存在するその意志の所有者は、

創造神としか名づけられない。(2)は、新しいものは古いものの死に

よって生み出されるという生と死の弁証法を直観的に把握し考え出された

ものと思われる。また、そこには人体の諸部分と宇宙の構成要素、ミクロ

コスモスとマクロコスモスが対応しているという認識が基礎にあると思わ

れる。なお、原人の体から宇宙が造られるという考え方の逆のパターンは、

人間が大地、水、植物、光、風などの自然のさまざまな要素から造られと

する考え方になる。(3)は、卵から生命が生まれることからの類推で、

(4)は、両親から子供が生まれることからの類推である。(5)は、自然

とつぎつぎに世界の要素が整っていく型であるが、洪水の水が引いた後から

草木や生物が自然に出現するかのように見えることからの類推であろう。

(6)は、水の底に土があるという知識と、子供のころに水たまりの土から

さまざまなものを作り出して遊んだ記憶の両者から編み出された考え方の

ように思われる、ということです。

 

もっとも、世界創造の神話は、この六種類のみに限定されるわけではなく、

いくつかのタイプが複合している場合もあるとされます。

 

それでは、創造神の意志による創造以外のタイプの物語を紹介しておき

たいと思います。

 

まず、巨人の死体から世界が作られるという神話ですが、これは世界の

あちこちでは見られるようです。そのうち、中国の神話は次のような

ものです。

 

<世界のはじめのときに、盤古(ばんこ)という巨人が出現した。そして、

彼が死んだとき、息は風雲となり、声は雷となり、左眼は太陽に、右眼は

月になった。手足は天を支える四本の柱となり、五体は五つの名山になった。

血は川となり、筋や脈は大地の木目となり、肌や肉は田の土となり、髪や

髭は星となり、皮や毛は草や木となり、歯や骨は貴金属となり、精髄は宝石

となり、汗は雨となった。そして体に寄生していたさまざまな虫は人間に

なった。>

 

中国のほかに、バビロニア、インド、北欧などにも、世界巨人型の創世

神話があります。そこには、各地の文化や風土に由来する独自な要素が

付加されているものの、明らかに共通点があり、それは、体の各部が

世界のさまざまな要素になるという考え方です。

 

人間は手に入る材料を工夫してさまざまなものを作り上げてきましたが、

その材料とは、植物であり、動物です。世界的には植物より動物を利用

する社会のほうがずっと多いが、そうした牧畜民的な生活ぶりが世界巨人

による世界創造の物語の背景にあったと考えられています。

 

よって、世界巨人型の神話は、おそらく牧畜を営んでいた社会で語られ

はじめ、牧畜の広がりとともに各地に伝えられたということ、すなわち、

古代オリエントで始められた牧畜の技術は、インドや中国、そして北欧

にも伝わり、それとともに世界巨人の神話も語られてきたのではないか

ということです。

 

次に、宇宙卵から世界創成の例として、フィンランドの神話叙事詩「カレ

ワラ」をあげると、次のようになります。

 

<原初には海と大気しかなかった。大気の娘イルマタルはひとりきりなの

に飽きて海に下りてきて、波によって子どもを宿した。しかし七00年、

大きなお腹で海上をさまよっても、出産できなかった。カモが彼女の膝の

上に巣を作り、六個の金の卵を産んだ。膝が熱くなってきたので彼女は体

を動かした。そこで卵は海に落ちた。卵は割れ、下半身は大地となり、上

半身は大空となった。黄身は太陽となり、白身は月となり、まだらの殻は

星となり、黒い殻は雲になった。>

 

鳥類、魚類等は、卵が孵化してその中から生命が誕生することから想像して、

卵から世界が生じたという考え方が生まれたということは容易に推察でき

ますが、世界的にみて、意外と数は少ないようです。

 

古代ギリシャ、古代インドなどにもみられますが、特定地域への集中は、

インドの影響と思われる東南アジア以外には見当たらず、おそらく、個別

に考えついた場合が多いのではないかということです。

 

また、人が父と母から生まれるように、世界もまた両親から生まれたと

する世界両親型という考え方もありますが、日本神話のイザナギとイザ

ナミの場合がそれです。

 

<天の神々は、彼らの中で最後に生まれたイザナギとイザナミに矛(ほこ)

を渡して、漂っている国を固定するように命じた。そこで、二人は天の

浮橋に立って、矛を下してかき混ぜ、矛を引き上げると、矛の先から海水

が滴って、それが積もってオノゴロ島という島ができた。二人はそこに下り、

大きな柱を立てて、さらに御殿を建てた。はじめ二人は正しい交わり方を

知らなった。そのため最初の子どもヒルコは不完全であったが、やがて

正しいやり方を知ると、イザナミは次々と島を生み出した。>

 

ここでの中心となるモチーフは、イザナギとイザナミという世界両親の

性的な交わりから国土と自然が生み出されるという部分です。しかし、

それは前半部だけで、後半部では、イザナミの体からの排出物や血がさま

ざまな神になっていて、それは先に見た世界巨人型に近い側面もあり、

また、世界は一面の海で、そこに矛を下して島を作ったとされるところは

いわゆる潜水型にも似ているのです。

 

このように、日本神話での世界のはじまりは世界両親からの出産が基本なの

ですが、その周囲には世界巨人型や潜水型といった他のタイプの世界のはじ

まりについての神話も重層的に入り込んでいるようなのです。

 

ところで、イザナギとイザナミは、夫婦神として神々を生んでいったが、

イザナミは火の神カグツチを生んだときの火傷がもとで死んでしまう。

夫のイザナギは妻を連れ戻すために黄泉の国(死者の世界)へ行くが、

妻の姿を見てはいけないというタブーを課せられる。しかし、イザナギは

このタブーを犯し、そのために妻を地上に連れ戻すことに失敗する。地上

に戻ってきたイザナギは死者の世界での穢れを清めようと川で禊をするの

ですが、そのとき、右眼を洗うと月の神ツクヨミが、左目を洗うと太陽の神

アマテラスが、そして鼻を洗うと暴風雨のような乱暴な神スサノオが生まれ

る、とあります。

 

これは神話のタイプとしては世界巨人型を思わせますが、このことについて

は、単なる神話論とは全く異なった見方がありますので紹介しておきたい

と思います。

 

水波霊魂学の提唱者、水波一郎氏は、そこには禊の謎、霊的修行法としての

禊法の象徴的な意味が込められているといいます。

 

水波氏は、今は絶版になっている旧著『禊 神秘の法』で、次のように

述べています。

 

<禊とは何度もいうが、魂の内の低い部分の向上と高い部分の誕生である。

天照大御神は、この高い部分として登場している。><よって、神話の作者

の知恵は、確実に禊が天照を生むことを直観で理解していたはずである。それ

は、同様に、スサノオの命と月読命を生んでいることでも明らかである。>

 

<なぜ、三神が貴いのかといえば、禊の秘密の一つが、日と月と破壊を意味

しているからである。日は昼の光であり、月は夜の光である。しかるに、

スサノオは、高貴な御子でありながら、何の光も発しておらず、泣いたり、

暴れたりする破壊の神の象徴でもある。><彼には光がなく、代わりに力が

あり、叫び、攻撃し、そして、天照に対抗した神格なのである。>

 

<これが禊法の神秘なのである。禊は、水や火(光)や風で人間の魂を

清めるが、同時に高い部分を甦らせ、光としての自分と、力としての自分、

そして怒りと破壊、そして、それを許す愛、そしてその両者を統合した

意識としての神的自我の登場なのである。>

 

<禊の奥義はここに窮まる。禊は日の力を吸収し、自分自身を変化させる。

やがて、神々の身体ともいえる神体を発生させ、強化し、神々の気を直接

自分のものにしてしまう。そして、魂全体の進化によって、高級な個性と

しての霊魂の世界へ旅立たせるのである。>

 

<禊の奥義は、天照とスサノオ、そしてイザナギにある。イザナギは男性的

側面を前面に打ち出した神霊であり、その結果として、日の光と月の光と

パワーを生み出したのである。>

 

<禊は父と子である。そして、母と子でもある。それは、女神イザナミが

男神イザナギにつけた穢れによって、高貴な御子が誕生したからである。

つまり、女神が魔物によって男神を追いかけさせねば、貴い御子は誕生

しなかったし、禊は行われなかったのである。>

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 龍
  (水波一郎 著 アマゾン 発売)
 
 
 
 
 
 
 
 
スポンサーサイト

テーマ : 心、意識、魂、生命、人間の可能性
ジャンル : 心と身体

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。