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人間のはじまり-創世神話2-


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世界神話辞典



人類起源神話は、世界起源神話や文化の起源神話とともに創世神話の重要な

一部分をなしていますが、人類の起源は、しばしば世界起源神話の一部を

なしており、そうでない場合も類似した構造やモチーフをもっていること

が多いようです。

 

また、世界の存在を前提にして人類の起源から話を始める神話も多く、

人類起源神話は農耕の起源など文化の起源神話と連続して区別しがたい

例もあるようです。

 

なお、日本の天孫降臨神話など、人類起源神話が特定の民族や家系、

あるいは特定の神話的人物の起源神話の形をとっていることもある

ということです。

 

さて、人類起源神話の形式としては、大きく分けると、創造型と進化と

いうものがあります。創造型は、創造神がなんらかの方法で人間を創造

したという形式であり、それはさらに、創造神が単独で人類を創造したと

いうものと、創造神が協力者と一緒に、あるいは反対者と争いながら創造

するものに分けられます。

 

進化型とは、創造神の介入なしに、ある種の原初の物質や胚素から自発的

に発達あるいは進化したという形式で、それは、単一の原初の物質や胚素

から人類が発生したもの、二つ以上の物質が作用しあって人類が発生した

もの、そして、原古の存在、たとえば世界巨人の死体から人類が発生した

という形の三つに分けられます。

 

また、人類起源神話のなかには、世界起源神話に対応する形式を持たない

ものがあります。それは、世界の存在を前提とする人類起源神話で、地中

からの人類の出現、天からの人類の降下がその代表的なものですが、その

ほかに植物、特に樹木から人間が出現した形をとるものもあります。

 

なお、男と女は別々に造られたという神話も少なからずあり、さらに、

既存の世界が一度破滅し、生き残った者が再生した世界の住人となる、

いわゆる洪水神話も、世界の存在を前提とした人類起源神話の一種と

見なされています。

 

さて、人は神々、創造神によって造られたという場合、何らかの素材から

造り出されたということになります。

 

たとえば、北欧神話では、人間は木から造られたと語られています。

 

<オーディン、ヴィリ、ヴェーという三人の神々が海岸を歩いていた。

すると、二本の木を見つけた。三人の神々は、それぞれ、息と生命、知恵

と運動、顔と言葉と耳と目を与えた。そして、さらに衣服と名前を与えた。

男はアスク(とねりこ)、女はエムブラ(ななかまど)という名前だった>

 

北欧神話は、おもに大西洋に浮かぶ火山と氷河の島アイスランドに残され

てきたが、寒い土地なので豊かな森があるわけではなく、あるのは流木で

あった。流木は家を造る素材や燃料として貴重だったところから、また、

木の棒をもう一方の木の穴に当てて火を起こすやり方が男女の交わりを

連想させることも、人間誕生のイメージを生み出す要因になったようです。

 

しかし、もっとも目立つのは、人間は土から造られたとするタイプです。

 

メソポタミア、エジプト、インダス、中国の、いわゆる世界の四大文明は、

いずれも大きな河川のほとりで始まっています。特に、メソポタミアの

場合は、乾燥した風土なので樹木はほとんどなく、豊富なのは上流から流れ

てくる粘土だけであり、その粘土を乾燥させて作った日干しレンガが家や

都市の素材となり、文字も粘土板に楔形文字で記されているほか、人間も

また粘土から作られたとされています。そして、他の地域でも人間もまた

土によって造られたという発想が普遍的に存在するようです。

 

メソポタミア文明の最初の担い手はシュメール人ですが、シュメール神話

「エンキとニンマハ」では、発端では、神々が人間のように結婚し、家庭

をもち、労働している様子が描かれているようです。神々には二つの階級

があって、下級の神々は水路や運河にたまる泥を取り除く作業に従事して

いたとされます。

 

下級の神々は労働のつらさや身分格差に不満を抱くようになり、反乱を

起こして、自分たちの代わりに労働してくれるものを求めたという。

そこで女神ナンマは、神々を代表して、息子で知恵と水の神であるエンキ

に妙案を示してくれるように頼んだ。エンキは深海のアプスーと粘土を混ぜ

合わせて人間を造ればよいと考え、そのための「型」を作った。それに

よってナンマは他の女神たちの力を借りて人間を造り上げることができた。

 

こうして、労働から解放されたので祝宴が催され、神々はビールを飲んで

陽気になったが、エンキの妻のニンマハは酔っ払って、わざと不完全な

人間を造れるのかと夫を挑発した。エンキも酔っ払っていたのでこの挑発

に乗った。そして、彼は欠陥があっても支障とならない職業をそれぞれの

人間のために考えてやり、妻との戦いに勝利したということです。

 

ここでは、粘土を日干しレンガを作るように粘土から人間が造られるという

イメージが語られており、また、この世には完全な人間ばかりではなく、

社会にはそれぞれふさわしい職業があるという考え方が示唆されている

ようです。

 

さて、メソポタミアでシュメール人のあとに有力になったのは、アッカド人

であったとされます。彼らはシュメール人から灌漑や建築といった技術的な

ことをはじめ、文字、宗教、神話などについても多くを学んでいます。アッ

カドの人間創造の神話は、「エヌマ・エリシュ」ともう一つ「アトラハシス

物語」がありますが、いずれもシュメールの人間の起源の神話によく似て

いるとされます。ただし、「エヌマ・エリシュ」のほうは、神々の血から

人間が造られたということから、巨人の死体から造られたという世界巨人

型のタイプのニュアンスが強いと思われます。

 

「アトラハシス物語」では次のように語られています。

 

「アトラハシス」とは、「最高の賢者」という意味で、彼が太古の出来事

を語るという形式になっていて、まだ、人間がいなかった原初には、七人

の大神アヌンナキの命令に従って下級のイギギが労働していた。シュメール

神話の場合と同様に下級の神々がストライキを起こしたので、知恵の神エア

がイギギたちに代わって労働する人間を粘土で造ってはどうかと提案する。

 

このように、メソポタミアでの人間の誕生は、現代風にいうとロボットの

製作に近いイメージですが、粘土で形はできても、それではまだ動かず、

動くためにはプログラムを組み込まなければならないことになります。

 

アッカドの神話では、プログラムや情報に相当するのが神の肉と血(「精霊」

ともよばれる)ですが、そのためにそれまで労働に従事していた一人の

下級の神が殺され、その肉と血が粘土に混ぜられて人間が造られることに

なります。

 

なお、世界各地には、大洪水の物語がありますが、それは悲惨な自然災害の

単なる記憶とは異なる側面があるということです。

 

洪水神話とは、大洪水によって一組、あるいは一家族の男女だけが生き

残って、世界中の他のすべての人々が死に絶え、この残った男女から新しい

人類が始まるという一貫した筋書きを持つ場合が多いのです。つまり、洪水

神話は、形を変えた人間のはじまりの物語として伝えられてきたといえる

ようです。

 

メソポタミアでは、このような、神々による洪水によって選ばれた者以外の

人類のすべてが滅びるとういう洪水神話と、土や粘土からの人間の創造と

いう、二つのタイプの神話が両方ともあり、隣接する地域の作品である

旧約聖書とギリシャ神話にも類似のストーリーがあるのですが、このこと

から、メソポタミア(シュメールとアッカド)の人間の創造の物語は、周辺

に位置する旧約聖書の民ヘブライ人やギリシャ人の人間の起源の思想に

影響を与えたと考えられています。

 

ところで、我々がよく知る旧約聖書の世界創造は、神ヤハウェが七日間で

成し遂げたとされ、六日目に地上の動物を造り、さらに人間を造ったと

されます。

 

その造り方はというと、土(アダマ)の塵で人(アダム)を造り、その鼻

に命の息を吹き入れたとあります。そして、アダムを眠らせて、そのあばら

骨を抜き取り、そのあばら骨から女を造ったとされ、この女はのちにアダム

によって「命」という意味のイブ(エヴァ)という名を与えられています。

 

このことは、ヘブライ人が、ノアの方舟のような洪水神話からも明らかな

ように、メソポタミアの神話の影響を強く受けてきたということを伺わせ

ます。

 

しかし、創世記で展開される人類創成の物語をみると、そこには、メソ

ポタミアの神話には希薄な倫理的なモチーフや、復讐、懲罰、報酬という

要素が加わってくるように思われます。

 

次回は、アダムとイブの物語に現れる死の起源、性の起源、罪の起源など

についてみていきたいと思います。

 

 









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