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英雄・文化英雄・トリックスター-創世神話4-


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スサノオ

文化のはじまりの神話は世界中にあるようです。

 

なぜなら、人間は、赤ん坊を見ればわかるように、生まれたままの状態で

はきわめて不完全で、生まれてきただけでは大きくはなれないからです。

 

危険な獣に襲われないように誰かが守ってやらなければならならないのです。

また、母乳で不十分なら動物の乳も必要となりますが、その場合、乳を搾れる

家畜を飼っておくと便利ですし、少し大きくなると、火によって柔らかくなる

まで調理した野菜や穀類が喜ばれるようになります。

 

つまり、人間が無事に成長するには危険な獣からの保護、家畜の獲得、穀物

の入手、火の使用法や調理や暖房の知識、すなわち、文化が欠かせないの

です。

 

こうした知識や物や功績は苦労して誰かが獲得したものですから、その偉大

な存在は英雄などと呼ばれますが、そこには英雄、文化英雄、トリックスター

という三種類の存在があるとされます。

 

まず、英雄とは、人間にとって危険な要素を取り除くという存在です。何か

を獲得するというよりも危険な要素を取り除くということが中心になって

います。

 

英雄はもっぱら武力によって物理的力による攻撃を撃退するのであり、高貴

で悲劇的な神話存在とされます。

 

そして、英雄崇拝に顕著なのは、個人としての名誉や武勇がなお意味を持っ

ていて、戦士の活躍の目標として英雄の栄光を賛美することが有意義で

あったような古代社会が中心であるということです。

 

古事記などの日本の神話における英雄は、スサノオやヤマトタケルであり、

ギリシャ神話では、ヘラクレスやアキレス、インドの英雄神インドラ、

古代オリエントのギルガメシュとエンキドなどがそれに該当します。

 

では、トリックスターとはどういうものでしょうか?

 

トリックスターとは、「いたずら者」という意味で、意図せず偶然から

文化の貴重な要素を見つけたり獲得したりする存在のことです。

 

その特徴は、あらゆる面での常軌の逸脱であるとされますが、トリック

スターは、単なる破壊者、秩序の騒乱者ではないようです。彼の活動に

よって、良い場合も悪い場合もあるが、何か新しいものが生じ、世界は

変化していくという。生の全体性には無秩序も必要であり、そのことを

強調してわれわれに認識させてくれるのがトリックスターであるという

ことです。

 

トリックスターは、日本では、アメノウズメ、中国では孫悟空、ギリシャ

ではヘルメス、ゲルマン神話のロキなどがあげられます。

 

なお、もう一つの文化英雄(トリックスターは広義の文化英雄に含まれる

ようですが)とは、その活動がより真面目で、より肯定的な場合をさすと

されます。つまり、文化英雄は、英雄とトリックスターの中間に位置する

ようです。

 

さて、文化の起源の神話の主人公が、英雄、文化英雄、そしてトリック

スターという三つの側面のすべてを示しているという神話が「古事記」に

ありますので、紹介してみたいと思います。

 

それはヤマタノオロチ退治で有名なスサノオにまつわる神話です。

 

「古事記」によると、イザナギの両眼からは月の神ツクヨミと太陽神アマ

テラスが生まれ、鼻からは暴風雨のような荒々しいスサノオが生まれます

が、スサノオはその荒々しい振舞いによって天上の神々の世界から追放され、

地上の世界にやってきます。地上にやってくる途上、そして、その後の地上

での彼の行動から人間にとって役立つ様々な品々がもたらされるのですが、

それぞれの場面において、スサノオは英雄、文化英雄、トリックスターと

いう異なる顔を見せるのです。

 

最初に出るのはトリックスターの側面です。地上に下る途中、空腹を覚えた

スサノオは、オオゲツヒメという女神のところへ立ち寄って、食べ物を求め

る。オオゲツヒメとは「多くの食べ物を与える女神」という意味で、この

女神は鼻、口、尻からいろいろとご馳走を出してくるが、それを見たスサ

ノオは汚いものを食べさせると思って怒り、女神を殺してしまう。でも、

この食物女神殺害の結果、女神の死体の各部から人間が文化的生活を営む

のに必要なさまざまな有用なものが誕生することになります。

 

死体の頭には蚕が、目には稲が、耳に粟が、鼻に大豆が、性器には麦が、

そして尻には大豆が生じたというのです。蚕からは絹糸のもとになる繭が

取れるし、その他もすべて食用の穀物や豆類です。

 

女神の体に潜んでいたものが意図しないスサノオの行為によって、人間が

食物として利用できる種の形に変化したのです。こうした意図せず文化を

創造する行為者こそが世界各地の神話に見られるトリックスターの特徴

だということです。

 

次に、スサノオは出雲(島根)にやってきて、若い娘を襲って食べる八つ

の頭と尾をもつ大蛇ヤマタノオロチを退治する。竜や大蛇の退治は英雄の

武勲のもっとも代表的なものであり、ここでのスサノオを英雄と特徴づける

ことができます。

 

ただし、この大蛇の体には苔、檜、杉が生え、谷八つに峰八つほどの長さが

あり、その腹はいつも血がたれて赤いとされていていますが、こうした特徴

から、別の見方もできるようです。

 

この大蛇の描写は山中の谷間でいくつもの支流に枝分かれした激しい流れを

イメージしているともいえます。

 

また、奥出雲地方は砂鉄の産地で、鉄分のせいで川が赤色に見えることが

あるとすれば、スサノオのオロチ退治とは、しばしば氾濫して、田畑を水没

させてしまう荒々しい川を治水したという、自然に対する人間の文化の勝利

を描いたとも考えられます。そうなると、スサノオは文化英雄でもあること

になります。

 

さらに、彼が武力よりも策略でオロチを退治している点も注目に値すると

されます。スサノオはオロチの八つの頭のそれぞれのために八つの大きな

桶を用意させて、それを強い酒で満たさせる。スサノオの計画どおりに

オロチは桶に頭を突っ込んで酒を飲み、酔いつぶれてしまう。オロチが

寝込んだのを見て、スサノオは剣をふるってオロチを退治するが、それは

知恵で立ち向かっていくことを示しているといえます。

 

このようにスサノオの神話には、トリックスター、英雄、文化英雄の三つ

の側面が重なりあって表れていますが、これはスサノオだけの特徴ではなく、

世界の他の英雄たちにも見られるものだということです。

 

ところで、以前にも引用した、水波一郎氏の著作で今は絶版になっている

『禊神秘の法』のなかで、スサノオについての別の見方、つまり、古事記に

おけるスサノオという神的存在の深い意味について述べられていますので、

紹介しておきたいと思います。

 

<スサノオは、やることなすことが秩序に反しているが、彼こそが日本人

の、いや、全人類の救いであり、偉大な神格である。しかし、この偉大な

神格はなぜ人間的悪行の象徴になってしまったのであろうか?>

 

<このスサノオが悪神に描かれている背景に、人間たちのわがままと、

傲慢が隠されている。つまり、人間たちは地上に生活しており、不自由

であるために、より自由な生活を夢見ており、自分たちに不都合なこと

は考えたくないものなのである。その結果として、アマテラスやイザナギ

を高く位置づけてスサノオのような不都合な神は低く位置づけたと思う。>

 

<神話の中で、スサノオはイザナギの意思に背き泣いてばかりいたとあるが、

それは、もう別の世界へ行ってしまって、醜く汚いと教え込まれた母の愛を

知りたがったからである。パワーであるスサノオには、母の愛がどうしても

必要であった。つまり、スサノオはその後、人間たちの世界へ降りるが、

それは母を持つ人間たちの愛の意味を知りたかったということである。>

 

<神々の世界は高貴すぎて、地上とは異質であり、そこにおける母性とは

神霊の女性的側面でしかなかった。それは人間たちには無関係であることを

知り、スサノオは父なる神に反抗し、地上に降りるのである。>

 

<スサノオは、その前に、兄弟神である天照大御神に面会する。その面会

のときには、大きな災害が起きる。そして二神は契約を交わす。その結果、

アマテラスは天上の神として上方から地上に光を送り、スサノオは地上に

降りて地上の邪を退治する。>

 

<そして、スサノオは、天界を追い出され地上で妻をめとる。剣の力で

妖怪を退治し、人々を守る。彼は人間たちの心を深く理解し、人々と同じ

ように苦悩するが、人々から良く思われない。人々は彼を無視し、彼を

受け入れなかった。>

 

<力の神が父なる神に逆らい、神々の世界から地上に本当に降りたとすれ

ば、人々にとって力の神は脅威である。力の神は人々のために妖怪を退治

した。しかし、力の神は、それ以外に存在する価値がない。太陽は毎日

必要であり、月も必要であるが、パワーは妖怪がいなくなれば大切では

ないからである。>

 

<力は時として善であり、同時に悪でもある。それは人間たちにとって、

都合が良かったり、悪かったりする。人々の勝手な自由は、スサノオを

アマテラスよりも低く位置づけるのである。>

 

<やがて、スサノオは神々の世界に戻っていく。父なる神に追放され、

兄弟の神と約束した高貴な御霊は、大悪人のごとく描かれ、悲しい

生涯を終えたのである。神話は霊感の書であり、物語によって象徴的

に記されている。スサノオを受け入れず、父の子を磔にした人類に

救いは遠い。>

 

<だが、アマテラスやツクヨミより一段下げられてしまったといえる

スサノオは、人々のために禊を指導なさる。それはスサノオの本質が

救いだからである。><スサノオの命は今実在しており、禊法の修行者

に対してこう言いたいのだろう。「禊とは、善悪を超えた巨大な力との

交流なり」と。>















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