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水と火と木と世界創造-北欧神話2-


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北欧神話と伝説 


「悠久なる時の始め、そこには何もなかった・・・在りしはギヌンガガプ

(ギンヌンガガップ)」と『詩のエッダ』にあるように、世界(宇宙)には

何もなかったという。砂もなければ、海もなく、冷たい波もなく、大地も

なければ天もない。ただ一面は霧に包まれていたが、その真ん中にギヌンガ

ガプと呼ばれる一つの裂け目があって、とてつもなく深く、大きく口を

広げていたということです。

 

『散文のエッダ(スノリのエッダ)』にはより具体的に書かれていて、大地

が創られるよりもはるか昔に、ニヴルヘイム(「霧または暗闇の世界」の意)

が現れ、やがて、その真ん中にフヴェルゲルミルという泉ができあがったと

いう。ニヴルヘイムは闇と寒冷が支配する世界で、ギヌンガガプの北側に

位置するとされるが、いつもすさまじい嵐が吹き荒れていたということです。

 

その泉からはいく筋もの川が流れていてが、その一つには毒が含まれていた

という。川はあまりの寒さに途中で凍りつき、毒を含んだ霧は霜となり、

幾重にも重なりながら、ギヌンガガプに迫り出していったということです。

 

また、原初のとき、ギヌンガガプの南方には炎熱世界としてムスッペル

(ムスペルスヘイム)があったとされます。そこは非常に熱く、周辺は炎

が燃えさかっていて、この国で生まれたものでなければ決して足を踏み入れ

られないほどであったという。

 

この領域を守護しているのがスルトという巨人で、彼が手にしているのが

「炎の燃え立つ剣」であるが、この剣を手にした者が世界をすべて火で焼き

尽くす、と予言的に語れているようなのです。

 

つまり、世界が創成される最初の段階において、この世を支配することに

なる神々の種族がまだ成立していないにもかかわらず、早くも彼らの滅びが

運命づけられているのです。

 

このように、北欧神話の語りの中では、ムスッペルは南方の炎熱世界として

の特徴が明らかであり、北方に布置されたニヴルヘイムの寒冷世界と対極を

なしていますが、いずれの世界も具体的にどのように成り立ったかは殆ど

記されていないようなのです。

 

ただ、水野知昭氏は、「肝心なことは、北方は「水」、南方は「火」の根源

の地であるという対立の図式が打ち出されていることだ」と『生と死の北欧

神話』の中で述べています。そして、水と火の要素は、万物の「生成」の

根源力であると同時に、「死と滅び」を招くものとして把握されていたと

しています。

 

さて、こうしてギヌンガガプの北側は、氷と霜ですっぽりとおおわれていた

が、幾重にも重なった霜に南から熱風が衝突すると、霜が溶けてしずくと

なり、やがてその命の水滴が熱を送るものの威力を帯びて人のような姿と

なり、原古の巨人ユミルが誕生したという。

 

ユミルの名は「双生」を意味していて、ユミルがまだうとうとまどろんで

いる間に汗をかき、彼の左の腋の下から一人の男と一人の女が生まれ、左

の足は右の足との間に一人の男の子を生んだ、こうして霜巨人の一族が

発生し、世界は巨人たちでいっぱいになったとされます。つまり、ユミル

は両性具有者であったということです。

 

なお、「汗」というのは奇妙な感じがしますが、それは血液をも意味する

ようで、それは、やがて、ユミルが殺されることを暗示していると考え

られているようです。

 

この世の最初の生命体としてのユミルに続いて、やがて同じようにその

溶けた霜のしずくから牝牛(めうし)アウズフムラ(アウドウムブラ)が

誕生したとされ、その乳首から四つの乳が流れ出て、ユミルはその牛に

よって育まれたという。

 

あるとき、牝牛は、塩分を含み、霜をかぶった幾つもの石をなめていた

ところ、その日の夕方には人間の髪が、翌日には頭が、そして三日目には

人間の全身が姿を現してきた。彼は容姿端麗にして力強い男で、名前はブ

ーリと呼ばれた。なお、最初の人間の誕生については別の神話で語られて

いるから、ブーリは人間の姿をしていても、正真正銘の人間ではないこと

になります。

 

そして、誰と結婚したかは不明だが、ブーリの息子としてボル(別名ブル)

が生まれ、やがて、巨人の娘ベストラをめとって、三人の子をもうけるの

だが、それがオーディン、ヴィリ、ヴェーの三神であった。

 

やがて、これらの兄弟神が成長して、ひいては天地を支配することになる

のであるが、それに先立ち、原古の巨人エミルを殺害したとされます。

ただし、この殺害の動機や用いられた武器については一切語られておらず

神秘のベールに包まれているということです。

 

ただ、大事なことは、三神による「世界最初の殺害」の行為が結果的に、

天と地、海と山など世界創造に導いたということにあるということです。

 

なお、ボルの息子たちは、ユミルの死体をギヌンガガプの真ん中へと運び、

その身体から大地を、血から海と湖を創ったとされます。つまり、その肉

から大地を、骨から岩(山)、歯と臼歯と砕けた骨から石や砂利を創り、

また、頭蓋骨から天の蒼穹(青空)、髪の毛から樹木を、そして、脳みそ

から群雲を創ったとされ、まさしく形態のアナロジー(類比)にもとづく

「死体化生神話」として位置づけられるということです。

 

ユミルの一族は血の洪水により殆どが溺れ死んだが、ベルゲルミルという

巨人とその妻だけが生き延びたので、彼らから新たに巨人族が生まれ、

存在し続けることになります。

 

こうして、世界の形は整ったが、暗闇のままだった。そこで、ムスッペル

から火花を取ってきてまき散らし、星々を創った。特に大きな二つの火花

を大空に投げあげて太陽と月を創り、大地のまわりを回らせることにした

という。

 

このようにして、大地は荒々しい海の真ん中に横たわることとなった。その

海辺の一番外側を、神々は巨人族の住居に与え、それから大地の真ん中の

土地を祝福して、ユミルのまつ毛で囲い、その垣の内をミスガルズ(ミッド

ガルド)と呼んだということです。

 

ミスガルズは、「中心の国」を意味し、「神々の国」であるアースガルズ

(アスガルド)、および外側にある巨人の国ウートガルズ(ウトガルド)の

間の文字通り中間に位置づけられているのであるが、このように北欧神話

の世界観は、基本的に「内-中心-外」の図式によって明確に分離された

構造をなしているのです。

 

ところで、ミスガルズは、のちに人間の住むところとなるのですが、まだ

存在していません。

 

では、どのようにして人間が誕生したのかということになりますが、それ

は次のように語られています。

 

ある日、オーディン、ヴィリ、ヴェーの3人の神が浜辺を歩いていると、

2本の木が岸に流れ着いているのを見つけた。それを拾って人間の形に

刻むことにし、トリネコの木から男を、ニレから女を創った。オーディン

はは命と魂を授け、ヴィリは知恵と動く力を、ヴェーは目と耳と言葉を

授けた。2本の木の幹は生命を宿して動き始め、人間の始祖である男と女

になった。男はアスク、女はエンブラと名づけられ、衣装を着せ、ミス

ガルズに住まわせた。

 

神々は、人間をミスガルズにすえると、その中央を囲って自分たちの住所

にし、それをアースガルズと呼んだということです。

 

ところで、木から人間が誕生したように、北欧神話では、木というものが

神聖視されていますが、世界の中心にユグドラシルという1本の巨木が

立っていて、それが世界を支えているとされています。

 

ユグドラシルの名前が登場するのは、神々の国アースガルズができてから

のことで、大地や空が創られたのち、芽が出て、長い年月を経て枝や幹を

伸ばし、世界を貫くほどの大きな木に成長したと考えられます。(この木

の種類はトリネコだと言われますが、長寿の木であるイチイだという説も

あるようです。)

 

その枝は全世界の上に広がっていて、天の上に突き出てそびえている。三つ

の大きな根が木を支え、遠くまで伸びている。1本の根は神々のところへ、

もう1本の根は巨人の国へ、3本目の根は霜と氷の国ニヴルヘイムまで伸び

ているということです。いずれも、それぞれの泉(ウルズの泉、ミーミルの

泉、フヴェルゲルミルの泉)に到達し、太い幹を支えているのです。

 

このように中心にそびえる宇宙樹ともいうべきユグドラシルのまわりに

ある九つの世界を舞台に神話が物語られていくのです。

 

以上、北欧神話における世界創造のプロセスを見てきましたが、そこでは、

万物の初めにあったものが、ギヌンガガプ(ギンヌンガップ)、すなわち

一つの「裂け目」であったとされています。

 

しかし、「裂け目」とは何を意味するかについては諸説あって、一つは、

「大口を開けた巨大な空域」あるいは「広がりわたった(宇宙)の亀裂」

という定義であり、一つは、「魔力に満たされた原初の空間」という解釈

であり、もう一つは、「あらゆるものの創成の始まりをなす虚空」だと

するものです。

 

水野知昭氏は、『生と死に北欧神話』の中で、<ギヌンガガプという

「大いなる口」は、万物を産みだす母性の女陰を象徴しているが、古くは

出産や豊穣を司る女神として崇拝されたものが後代に大地の下にて死者を

呑み込み、生贄や犠牲獣を求める「恐るべき母」に転落した例は世界各地で

認められる。つまり、母神あるいは女神は、しばしば創造的な側面と破壊的

な側面を兼ね備えているのである。よって、この生と死、豊穣と不毛という

女神に帰属された二面性、は、原初の太虚ギヌンガガプにも当てはまるで

あろう>と述べています。

 

さて、いよいよ神々の活動が始まりますが、北欧神話は、神々の戦い物語

だと言われています。神々と神々の戦い、神々と巨人との戦い、次回は

その戦いの様を紹介したいと思います。

 
 
 
 
 
 
 
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