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神々と巨人族との戦い-北欧神話4-


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ロキ2


なぜ、神々と巨人族は争うことになったのでしょうか?

 

一説によると、オーデン、ヴィリ、ヴェーの三神が「霜の巨人」の始祖

であるユミルを殺して世界を創ったために、その子孫に襲われるのでは

ないかと戦々恐々としていたのだということです。

 

オーデンの恐れと不安は他の神々にも伝わり、何かと巨人族を痛めつける

事件が起こる。特にトール神は神々の国アースガルズに侵入してきた巨人を

ことごとく打ち倒したり、しばしば巨人の国ヨトンヘイムまで遠征して、

数多くの巨人たちを討ち取ったりしているのです。

 

よって、巨人族は単なる「悪」ではないのです。巨人族は神族に対して力で

劣らないだけではなく、文化面においても、巨人族はどの神族よりも勝って

いるところが多いとされます。

 

トール神の武器である槌ミョルニルや、フレイの持ち物である不思議な船

スキーズブラズニルなど、魔法の武器や道具の多くは、原初の巨人ユミルの

肉から生まれたドヴェルグ(小人族)が作ったものなのです。

 

主神であるオーデンの豊富な知恵についてさえも巨人族から得たものが

多いのであり、北欧神話においては、神々の大切な武器や道具とされている

ものはほとんど神々からは「悪」とされ、忌み嫌っている巨人族からもたら

されているということになります。

 

それどころか、オーデン、ヴィリ、ヴェーの三神さえも、元をたどれば

巨人の娘ベストラから生まれたとされているのです。

 

さて、巨人族の神話といっても多岐に渡りますので、ここでは巨人族の中

で最も注目すべき存在であるとされる「ロキ」に焦点を絞って紹介して

みたいと思います。

 

ロキは、巨人ファールバウテの息子で、オーデンとは「互いの血を混ぜ

合わせた」血盟の兄弟とされ、アース神族に迎え入れられて、トールや神々

の番人ヘイムダルと関りが深く、しばしば行動を共にしています。

 

彼には子供も多く、有名なものには、巨人族の女アングルボザとの間に

生まれた狼フェンリル、大蛇ヨルムンガンド、冥界の女王ヘルなどが

います。

 

ロキは、善と悪の両方の顔を持つ神とされます。「性格は悪く、行動もすこ

ぶる気まぐれだ」とされ、神々を危険にさらす一方で、巨人族に盗まれた

トールの槌ミョルニルを奪回するなど、神々を助けることもありました。

 

また、ロキとは「閉じる者」、「終える者」を意味し、世界の終末をもた

らす神であるともされますし、元来は、火や燃えるような夏の炎暑を支配
し、ある場合には苦痛を、またある場合には助力を与える自然神であると
も言われています。

 

なお、ロキは、狡猾で悪知恵が働き、変身能力もあり、両性具有でもあった

とされますが、このような存在は神話の世界ではトリックスターと呼ばれ

ています。トリックスターは、単なる破壊者、秩序の騒乱者ではありません。

彼の活動によって、良い場合も悪い場合もあるが、何か新しいものが生じ、

世界は変化していく、あるいは、硬直した社会が再活性化していくと

されています。

 

さて、このような微妙なロキの立場は、最高神オーデンの息子バルドル

の殺害に関与したことから神々との決定的な対決へと変化していきます。

 

あるとき、不死身であったはずのバルドルが殺されるのですが、それは次の

ようなあらすじになっています。

 

<あるときバルデル(バルドル)は、ひどく不吉な夢を見たことがあった。

あった。そこで、アースの神々に自分の見た夢のことを話すと、神々は会議

を開いた後に、だれひとり決してバルデルに害を加えないという約束を、

世界のあらゆるものと結ぶことにした。>

 

<そこで母神のフリッグがあらゆるものにそのことを誓わせると、火と水、

鉄その他のあらゆる種類の鉱物、土や石、動物や虫にいたるまでが、いか

なる危害をも決してバルデルには加えないことを約束したのである。>

 

<こうして神々は安心すると、不死身となったバルデルをめがけて何かを

投げつけることに娯楽を見出した。バルデルをみなの真ん中に立たせて、

ある者は矢を射るし、他の者は刀で切りつけたり、石を投げつけたりした。

そうして彼らは、自分たちの腕前を競うことのできるひとつの新しい遊び

を見つけだしたことに気をよくしたのである。>

 

<ところが、ロキがその有り様を見たとき、バルドルが少しも負傷しない

のは不愉快だと思った。よって、ロキは女の姿に変身すると、フリッグの

もとへ訪ねていった。フリッグは女の姿を見ると、神々が何をしているの

かをたずねた。女(ロキ)は答えた。「皆がバルドルめがけて何かを投げ

つけるのですが、彼は少しも負傷しないのです。」と。>

 

<するとフリッグは言った。「どんな鉱物も木々もバルドルに危害を加える

ことはできない。この私がそれらすべてから誓いを取りつけたのだから。」

そこで女は尋ねた。「すべてのものがバルドルに害を及ぼさないと約束した

のですか?」>

 

<それに対してフリッグが答えた。「ヴォルホッル(ワルハル)の西方に

一本の木の枝が育っている。それは宿り木と呼ばれているが、その木だけは

誓いを立てさせるにはまだ若すぎると思われたのです。」と。それを聞くと

女はその場を立ち去った。そして宿り木を引き抜き、神々の集まる場に

もどってきた。>

 

<オーデンの息子のホッド(ホズ)が神々の輪の一番外側に立っていた。

というのも、彼は盲目だったからである。そこで、ロキは彼に尋ねた。

「どうしてお前はほかの神々のようにバルデルに物を投げないのか?」

ホッドは答えた。「私にはバルデルがどこにいるのか見えないし、武器も

持っていないから。」と。>

 

<そこでロキは言った。「お前もほかの神々を真似てやってみるがよい。

他の者と同じようにバルデルに敬意を示すのだ。彼がどこに立っている

かは、私がお前に教えてやろう。この枝で彼を刺すのだ。」ホッドは宿り

木を受け取って、ロキに教えられるままにバルドルに投げつけた。木は

槍となってバルドルを刺し抜き、彼は地に倒れて落命した。>

 

<バルデルが倒れると、神々は茫然と両手を垂れて立って、無言で互いに

顔を見合わせるばかりだった。そして、この所業を犯した者に対して

同じ思いを抱いた。しかし、そこは神聖な場所だったので、誰も復讐を

遂げることができなかった。>

 

<とりわけオーデンは、この出来事を最も憂慮すべきものとして胸中で

受け止めていた。というのも、バルドルに死によって、いかに大いなる殺戮

と喪失がアース神たちを見舞うことになるかを、彼は誰よりも鋭く察知して

いたからである。>

 

その後、さらに死んだバルデルを何とか甦らそうとする神々の試みをも妨害

したロキは神々の怒りを恐れて逃亡するのですが、この「バルドル殺害神話」

は、不思議な感覚をもたらすと水野智昭氏は、『生と死の北欧神話』の中で

述べています。

 

つまり、バルドル殺しの犯人は、その語りに従えば、ロキと盲目のホッド

(ホズ)であるが、よく目を凝らせば、この神話に登場するキャラクターの

全員に殺しに責任があるように思えるというのです。

 

父オーデンは息子がホッド(ホズ)の手にかかって殺されることを予知

していたのだが、その惨劇に発生を阻止できなかったし、また、母神の

フリック自身の口から、愛息バルドルを死に追いやる「宿り木」の秘密が

暴露されているのであり、バルドルが殺されることは、最初から運命づけ

られているように見えるとしています。

 

しかし、そうなると、ロキという存在に対する見方も変わってくるように

思われます。

 

バルドルは母神の呪術におかげで「不死」となり、その呪力が有効である

かぎりは、神界において永遠に生き続けることになる、いわば、母神の介入

によって、バルドルは「生と死の循環原理」を打ち破る危険な存在と化した

ことになります。

 

そして、他のすべての神々がバルドルを標的として攻撃する奇妙な娯楽、

ゲームが流行し始めた。これは集団の暴力に見えるものの、その内実は、

バルドルの不死性を確認するものであり、皆がそれに打ち興ずる中で、

ひとりロキだけは、この光景を見て「不愉快に思った」のです。

 

バルドル殺害があたかもロキの個人的な感情より発したかのように思える

記述であるが、死の世界を領有するヘルを娘に持つロキにとって、「不死」

なるバルドルは「生と死の循環原理」に違反する者以外の何ものでもないと

すると、ロキには「不愉快」きわまりなく、むしろ、バルドルの「不死」の

呪術を打ち破り、「生と死の原理」をこの世に復活するという難題がロキに

課せられていたと言えるのです。

 

<バルドル殺害は「神々の輪」の真ん中で発生した。その死は「バルドル

虐待ゲーム」に参集した全員の責任であるだろうが、もし仮に彼らが責任

を免れるのであれば、最後に「ゲーム」に加わったホズとその教唆者ロキ

も、外見上は、バルドルの不死性に「敬意」を示そうとしたかぎりにおいて、

免責されるべきだろう。巧妙に仕組まれたこの完全犯罪が、ひいては世界の

没落と、豊穣なる生を招き寄せている。>と水野智昭氏は述べています。

 

なお、<世界各地の神話において、聖なる犠牲獣の供犠とパラレルに神聖

なる王者の犠牲的な死が語られているが、それに照らすと、北欧神話の

なかの一連の「殺害」の意味するものが鮮明になってくる。たとえば、

巨人ユミルの殺害によって宇宙が創成され、虐殺されたグッルヴェイグが

蘇生を繰り返すことによって、両神族が「和平」を結ぶに至った。そして、

女神イズンの略奪者となった巨人スヤナの虐殺が、ひいてはその娘スカジ

とニョルズ神との聖婚を導き、アース神族と巨人族の一時的な和解をもた

らしたが、これらのことから、バルドルも「神々の犠牲者」として殺され

ねばならなかったと考えられる。>としています。

 

さて、その後、逃亡していたロキは捕縛、幽閉され、アース神はロキへの

復讐を成し遂げたかに見えたが、結局、それはオーディンの不安どおり、

巨人族との最終戦争(ラグナロク)のきっかけをつくることになり、

世界は終末へと突き進みます。

 

次回は、そのラグナロク(神々の没落、神々の運命)について迫って

みたと思います。


 
 
 
 
 
 
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