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「心霊研究から超心理学へ」


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近代スピリチュアリズムの歴史 


前回、紹介した書『神霊主義』は、<心霊科学からスピリチュアリズムへ>

という副題がついていましたが、今回、取り上げた『近代スピリチュアリズム

の歴史』は、<心霊研究から超心理学へ>という副題がついています。

 

ここから、本書の著者、三浦清宏氏は、心霊研究、あるいは心霊科学の発展

形態は、スピリチュアリズムよりも、超心理学であるというふうに見ている

ように思われます。

 

この違いには、どういう意味があるのでしょうか?

 

三浦氏は、「スピリチュアリズムと心霊研究の区別さえ分からずにイギリス

へ行って恥をかいた」と述べているように、どうも、日本特有の現象として、

心霊科学、心霊研究とスピチュアリズムは同じもののように見られており、

その上、近年、「スピリチュアル」という曖昧な言葉が流行して、ゴチャ

混ぜになってわけが分からなくなっているため、心霊研究とスピリチュアリ

ズムは、同じところから生まれながら、はっきり別の道を歩んできたという

ことを示そうという意図があるように思われます。

 

今回は、「スピリチュアリズムか、超心理学か」という問題は少し脇に

おいて、三浦氏の「近代スピリチュアリズムの歴史」に依拠しながら、

心霊研究とスピリチュアリズムの葛藤の歴史に焦点を当て、そこに潜む

問題点を明らかにできたらと思います。

 

さて、本来、欧米では、「スピリチュアリズム」という言葉は、ハイズ

ヴィル事件などに見られるような心霊現象と、それを霊的なものとして

受け入れる思想とを指すようです。一方、「心霊研究」とは心霊現象を

科学的立場から調査、研究することを指すということです。

 

日本では「スピリチュアリズム」を「心霊主義」と訳すため、「神霊研究」

と混同することが多いが、この二つは似て非なるものとされます。

 

よって、スピリチュアリスト(心霊主義者)であって心霊研究家である者

もいる代わりに、心霊研究家は、必ずしもスピリチュアリストではないと

いうことになります。むしろ、そうでない場合が多く、英国の有名な心霊

研究協会(略称「SPR」)などは、代表的なメンバーの多くが非スピリ

チュアリストたちによって占められていたのです。

 

そのため、SPRという組織はその歴史の中で何度も内部対立を引き起こし

てきたということですが、どういうところに問題であったのかを浮かび上が

らせるために、この組織の推移に焦点を当ててみたいと思います。

 

まず、SPRなどの心霊研究が始まった時代背景としては、英国における

科学技術の発達、特に化学、物理学における実験重視の傾向の高まりが

あったとされます。

 

近代科学の揺籃期は、化学や物理学などの区別も明瞭でなかったが、実験に

よってさまざまな研究対象間の関係が明らかになるにつれて各専門分野が

独立し始めるという、野心と希望に満ちた時代であったのです。科学者の

ある者は腕試しのような気持で心霊現象を解明しようと思ったり、その

欺瞞を暴露して世間の目を覚まさせようと意気込んだということです。

 

そんな中、物理学者のウィリアム・バレット教授は、同じ英国科学振興会

のメンバーであったアルフレッド・ウォレスと共に、会員の間に心霊研究

を促進しようとしました。一度は挫折するのですが、著名な学者や社会の

名士を集めて研究会を作れば世間の承認を得ることができるだろうという

新たな考えのもとでなされた彼の提案によって、SPRという世界初の

心霊研究機関が設立されたのです。

 

初代の会長は、ケンブリッジ大学の倫理学教授で哲学者、古典文学者で

あったヘンリー・シジウィックという人ですが、SPRは、このような

学問的分野の人物ばかりではなく、政治的、社会的にも卓越した人物を

擁したということです。

 

なお、注目すべきは、牧師で有名な霊能者であったステイトン・モーゼス

が副会長になっていることです。立場の違う人たちが安心して集まった

のは、科学的であることを標ぼうしたからだといえますが、スピリチュ

アリストのモーゼスが要職にいたことに示されるような混成状態は、

SPRの初期にしか見られないということです。

 

ヘンリー・シジウィックの後、会長職についた知名人には、アメリカの

心理学者ウィリアム・ジェイムズ、フランスの生理学者シャルル・リシュ、

哲学者アンリ・ベルグソン、文化人類学者のアンドリュー・ラングとギル

バート・マレー、天文学者のカミーユ・フラマリオンなどがいたようです。

 

もっとも、実際にSPRにとって重要な仕事をしたのは、有名人ではなく、

会の中核をなした10人足らずの人たちであったようですが。

 

なお、歴代会長の一人に、フレデリック・マイヤーズがいました。彼は、

死後、マイヤーズ霊として霊媒を通して通信を送り、類魂説などをもたら

しましたが、生前は、数多くの催眠実験や降霊会などの体験から「複数潜在

意識」説を唱え、以前に紹介したウィリアム・ジェイムズなどに高く評価

されました。

 

さて、SPRの特徴を一言でいうならば、それは、「誤りに対する仮借の

ない態度」、あるいは「遠慮会釈のない科学的厳正さ」ということになり

ます。多数派を厳正な科学的態度をとろうとする懐疑派が占めたところから、

ある意味、当然の帰結といえますが、それはそれまで、詐欺やスキャンダル

にまみれていたスピリチュアリズムの不正やインチキの撲滅ということに

関しては大きな役割を果たす一方で、霊媒を疑うあまり、厳正さという

ものを通り越して、狭隘さとしか呼べないような側面もあったようです。

 

そのため、その後、副会長を務めたステイトン・モーゼスをはじめとする

脱退者を出すことになるのです。

 

もっとも、シャーロック・ホームズで有名な作家コナン・ドイルや、法学者

のリチャード・ホジソンなど、最初、懐疑派であった人で、スピリチュアリ

ストに転向していった人もいます。ミイラ取りがミイラになったということ

です。

 

また、自分の地位や名誉を守るために、本心では、心霊実験の信憑性を認め

ながら、公的には否定するというようなダブル・スタンダードの科学者も

たくさんいたということです。

 

そして、最初からインチキを見破ってやるという態度で行うその調査は、

霊媒に対して過酷な扱いをし、霊媒の心を傷つけたばかりではなく、

予期せぬ現象を引き起こしたということです。

 

最初、真の霊媒現象を起こしていた霊媒がインチキを行うようになった

というのです。

 

たとえば、イタリアにユーサピア・パラディーノという卓越した女性の物理

霊媒がいて、当初は、専門家の厳しい実験を次々とクリアーしていったにも

かかわらず、だんだん、詐欺的な行為が混ざっていったのです。

 

このことについて、ユーサピアは、次のように答えたということです。

 

「インチキをやっただろうと言われたことはたくさんあります。それは

こういう訳なの。私がきっとインチキをやるだろうと思っている人たちが

いるんです。それを望んでいると言っていいくらい。私が入神状態になる

でしょう。それでも何も起こらない。そうするとみんなイライラしてくる

んです。インチキをやるだろうと思い始め、そのことしか考えなくなる。

そうすると私は自然にそれに応えてしまうの。いつもそうだというわけ

じゃないけどね。みんなの気持がそうさせるの。」

 

霊媒自身の好、不調の影響もあるでしょうが、観察者の猜疑心が実験自体

に大きな影響を及ぼしたのだと思われます。

 

以上、SPRとはどういうものだったかを見てきました。結局、スピリチュ

アリズムと心霊研究は分裂し、別の道を歩むことになるのですが、当初は、

対立しながらも影響し合い、お互いに切磋琢磨していたことが伺われます。

 

スピリチュアリズムの側にしても、心霊研究と手を携え、新しい時代の科学

たらんとしていた、少なくとも科学の仲間入りをしようとしていたのです。

 

さて、スピリチュアリズムを考えるとき、宗教、特にキリスト教との微妙な

関係を看過することはできません。

 

スウェーデンボルグのようにキリスト教を絶対視する敬虔なキリスト教徒が

スピリチュアリズムの始祖となったように、両者は切っても切れない縁で

結ばれています。スピリチュアリズムは、キリスト教に「科学的」根拠を

与える援軍であると思われていたようなのです。

 

当時、唯物論が盛んになってキリスト教社会を揺るがせ始めました。唯物論

を推進した最大の原動力は、人間と猿とは同じ祖先から進化した動物である

とする進化論でしたが、これに真っ向から立ち向かったのがスピリチュア

リズムだったのです。

 

一方、スピリチュアリズムはキリスト教会に不満を抱く人たちの福音とも

なったとされます。その最大の理由は神が罰を与えることはないという

ことだからです。

 

つまり、「最後の審判」のような神の怒りと罰などはなく、神は常に愛の

心を持って人間を救おうとしているというのがスピリチュアリズムの

霊界であり、死後の世界でも人間はすべて自分に責任を持たねばならない。

神の指図ではなく、自分の考えと行為とが霊界における自己の立場を決める。

その人間の魂の精進によってより高い世界へ行くことができるため、神の

世界に近づこうと永遠に努力を続ける、とするのです。

 

コナン・ドイルは、「スピリチュアリズムは、どの宗教の中にも入って行け

ない者のための宗教である。」という言葉を残していますが、心霊研究と

たもとを分かったスピリチュアリズムは、新しい宗教へ向かって行ったとも

言えるようです。

 

つまり、衰退期に入ったスピリチュアリズムは、それまでに蓄積されてきた

多くの「霊界通信」の中から活用できる部分を抽出して体系化し、過去の

心霊研究の成果をも取り込んで宗教教義化する方向へ向かって行ったのでは

ないかという疑問が湧くのです。

 

もう、さらなる霊的真実を世に示すことができず、結局、本格的な霊的修行

を経ていない未熟な霊媒による未熟な霊魂通信のレベルを越えることができ

なかったのではないかという思いがするのです。

 

そして、心霊研究の方はというと、1930年代以降、『超感覚的知覚

(ESP)』という論文がアメリカのデューク大学の若手教員、ジョゼフ・

バンクス・ラインによって出されたのをきっかけに、「超心理学」という

ものにとって代われて行ったと三浦清宏氏は述べています。

 

「霊媒の時代」は去り、誰もが実験に参加できる「一般能力者」の時代、

暗室の中での「心霊現象」から、明るい部屋でのESPカードやサイコロ

による「サイ(PSY)」の時代へと移ったとしています。

 

この新時代の研究の中には「死後生存」、すなわち臨死体験や生まれ変わり

(再生)の事例採集と統計的処理による研究なども含まれていますが、それ

らの研究は、研究対象と成果の多彩さ、社会的反響の強さの点で、「心霊

研究」の時代にはとても及ばなかったということです。

 

その最大の原因は、なんといっても優れた霊媒の激減であるとされます。

 

とにかく、超心理学は、いろいろな研究分野の領域で、さまざまな結果を

生んだとされるものの、その源流であるところの古典心霊科学の目的とした

「死後も個性は存続するか」という問いに対しては、何ら新しい展望を

もたらしておらず、むしろ、その問題から出来るだけ遠ざかろうとし、ただ

薮の周りを叩いているだけのように見えると、三浦氏は述べています。

 




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