エドガー・ケイシーの光と影


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眠れる予言者 




前回は、ホワイト・イーグルと神智学の関わり、さらにはスピリチュアリ

ズムと神智学の関係について見てきましたが、今回はホワイト・イーグル

やシルバー・バーチとほぼ同時代のエドガー・ケイシーについて触れて

おきたいと思います。

 

エドガー・ケイシーについては、以前、一度取り上げたことがありますが、

今回は、神智学などの影響とその変貌という観点から再度考えてみたいと

思います。

 

エドガー・ケイシーは、「眠れる預言者」などと呼ばれ、催眠状態において

人々からの相談や質問を受け、それに答えるという形態をとり、催眠状態

のケイシーが語った言葉は「リーディング」と称されました。そして、

質問への回答は、超自然的な智慧の源、つまり、「アカシックレコード」

にアクセスすることによって得られたと言われています。

 

これは、一見、ホワイト・イーグルという霊的存在からグレース・クック

という霊媒への通信、あるいはシルバー・バーチという霊的存在からモー

リス・バーバネルという霊媒への通信という形態とは異なるように見え

ますが、エドガー・ケイシーの場合も、彼が霊媒の役割を担い、彼に情報

を与えた霊的存在がいたと考えてよいと思います。

 

さて、ケイシーの霊的な治療活動は、彼自身が別の人格、催眠時人格の導き

により失声症を克服し、さらに自身の病のみならず、他の人々のさまざまな

病に対する治療法をも教えたところから始まっています。

 

覚醒時のケイシーは、医学の知識をまったく持っていなかったため、この

ような行為は許されないのではないかという危惧を覚えていたが、通常の

医療から見放されて苦しむ人々の要請を拒絶することもできず、彼らの

相談に応じ続けたようです。

 

そして、このようにして始まったケイシーのリーディングは、1902年

から1945年に亡くなるまでの43年間にわたり、8千人以上、口述の

速記録1万4千ページ以上という膨大な量にのぼったということです。

 

これらのリーディングのうち、6割が肉体の診断(フィジカル・リーディン

グ)で、2割が人生の診断(ライフ・リーディング)、そして残りの2割が

その他に分類されますが、大きく分けると、フィジカル・リーディングと

ライフ・リーディングの二つに分けられます。

 

最初は、フィジカル・リーディングからはじまったケイシーのリーディング

ですが、あるとき、ある人物が介入することから、ライフ・リーディング

と称するものが始まるのです。

 

ケイシーにとってその大きな転換となったのは、1923年にアーサー・

ラマースという人に出会ったことであるようです。ラマースの職業は印刷

業者であったが、宗教や哲学ヘの造詣が深く、彼はケイシーに対して、

催眠時の人格に宇宙の構造や人間の霊魂というものについて尋ねてみる

ことを提案したようです。

 

ラマースの提案に従って、それを試みた結果、催眠時のケイシーが答えた

のは、人間の霊魂が宇宙の法則に従いながら「輪廻転生」を続けている

ということでした。

 

それまでケイシーは敬虔なキリスト教徒として日常生活を送っていたため、

その回答を聞いて大いに当惑したが、徐々にその霊魂観を受け入れるよう

になっていったようです。

 

かくして、ラマースはケイシーに、病気治療を目的としたこれまでの診断

(フィジカル・リーディング)に加え、過去の転生の経緯を含む、人生

全体に関する相談(ライフ・リーディング)にも応じるように助言したと

されるのですが、ここで留意すべきは、ラマースの宗教や哲学に関する

知識は、明らかに神智学に基づくものであったということです。

 

ケイシーと面会した際にラマースは、ブラヴァツキーが論じた人間の魂の

あり方や、その地上での目的について語っていて、ラマースは、神智学の

霊魂観が果たして正確なものなのか、リーディングによって裏づけを

とってみようと提案し、ケイシーはそれを了承したようなのです。

 

もっとも、「実際のところ、ケイシーとラマースの交流とは、ケイシーが

ラマースの質問に回答したというよりも、ラマースがケイシーに対して、

彼の活動の理論的背景となるものを教えたという方が、より事実に

近かったのではないだろうか」と太田俊寛氏は、著書『現代オカルト

の根源』で述べています。

 

ただし、「転生」あるいは「再生」という現象、概念のソースは、

ケイシーに関与した霊的存在からのものであって、単なる神智学の

知識によるものではないと思われます。

 

「転生(再生)」というものを前提とした、今生における様々な現象の

原因としてのカルマの概念は、神智学固有のものではありません。

それは古来より言われてきたことであり、非常に重要なことです。

非常に重要な問題ですが、以前に何度か記したことがありますので、

ここではそのことには触れないこととします。

 

今回、問題となるのは、「転生(再生)」の真偽ではなく、それが神智学

に依拠しているのではないかということでもなく、「転生(再生)」を

語るリーディングに対し、吹き込まれた神智学の知識が何らかの歪みを

もたらしたのではないかということです。

 

もっとも、彼のリーディングに歪みをもたらしたのは、神智学のみならず、

それ以前に、キリスト教の教義であったのであり、ケイシーに働きかけた

霊的存在は、まず、キリスト教によって植え付けられた観念の頑強な抵抗

に会ったのではないかと思われます。

 

つまり、ケイシー自身がキリスト教のドグマによる抵抗に遭い、葛藤し

ながらも、ライフ・リーディングによって、「転生(再生)」とカルマの

関わりにまで行き着いたのは良かったとして、転生(再生)というもの

が時代をさかのぼり、アトランティスにまで範囲が及んだときに神智学に

よる歪みが発生したのではないかということです。

 

ケイシーのライフ・リーディングによれば、地球に人類が出現したのは、

今から1千万年前のこととされます。そのころの人類は、まだ肉体を有

しておらず、霊的な身体で存在していて、両性具有だったともいいます。

 

また、地球の地理的条件も現在とは大きく異なっていた。地球はこれまで

何度も「地軸の移動(ポール・シフト)」が起こっており、そのたびに

気候が大きく変動するとともに、大陸の隆起や沈没が生じたとされます。

 

そのほか、人類が初めて高度な文明を築いたのは、約10万年前のアトラン

ティス大陸であったこと、当時の地球は、獰猛な動物たちが数多く徘徊して

いていたが、その襲撃に対抗するために高度な科学技術を応用した兵器を

開発し、動物たちを撃退したこと、人間たちのなかには、意識の水準を動物

と同調させることにより、半人半獣の姿に変身する者たちが現れたが、彼ら

は己の本質を忘却し、物質的快楽や攻撃的衝動に身を委ねてしまったこと、

その彼ら(「悪魔の子ら」)と「神の掟の子ら」との争いによって、アトラン

ティスは三度にわたって破局を迎えるが、紀元前一万年前に起こった三度目

の破局によって大陸自体が水没してしまったこと、などが語れています。

 

これらは、ブラヴァツキーの『シーレット・ドクトリン』の歴史観に似て

いるとされますが、アトランティス期の出来事が詳細に描写されている点、

また、その際に蓄積されたカルマによって、現代の文明にも滅亡が迫って

いるという終末論が説かれる点に特徴があります。

 

さて、このストーリーの問題点はどこにあるのでしょうか?

 

以前にも紹介したことがありますが、水波一郎氏の著書『神体』において

展開された太古の人類の歴史を再度ふり返りながら、問題点を浮かび上が

らせてみたいと思います。

 

『神体』では、最初、幽体という霊的身体をまとい、幽質という質料の世界

に住んでいた現生人類がこの地上(物質界)に降りて動物の身体(肉体)を

まとったのが今から1万1千年前で、最初に降り立った地が「ムー」という

地であり、6千年前に「ムー」が沈んで、移り住んだのが「アトランティス」

あった、そして「アトランティス」もわずか千年で沈んだ、と述べてられて

います。

 

これに対して、ケイシーのリーディングは、地上に降りて肉体をまとう以前

の人類も、「ムー」という地に高度な文明を築いた人類も、そして「アト

ランティス」に移り住んだ人類も全部アトランティスでくくられています。

そして、その時間の幅が少なくても10万年という非常に長いスパーンに

なっているのです。

 

人類の発生を1千万年前と述べたあと、ケイシーがアトランティスの年代

について具体的に述べているのは、「ラムがインド入りする約10万年前」

といった箇所です。

 

このように具体的に年代を述べているケースはそう多くはありません。

そのほかには、最初の破壊期がやってきたのは紀元前5万年、第二の

破壊期が紀元前2万8千年、そして、第三の破壊期、つまり大陸の沈没

が先に紹介したように紀元前1万年前、といった年代が述べられている

程度です。

 

ここには、神智学における「七つの根幹人種」論の影響があるのかも

しれません。神智学では、七つの段階のうち第四段階をアトランティス

期(第四根幹人種)としているのです。

 

もっとも、神智学では、W・スコット=エリオット著、『アトランティス

およびレミウリア物語』をベースにしながら、アトランティスの時代を

百万年とし、3回の大変動で水没したとされるのですが。

 

よって、過去世がアトランティスであったとする人物のリーディングを

見ると、その人の生きた時代の状況はかなり詳細に述べられているのに

対し、それがいつの時代かがきわめて漠然としていたり、信じられない

ような太古であったりするのではないかと思います。

 

さて、ケイシーは、これだけにとどまらず、さらに変貌をとげてゆきます。

 

ケイシーは、アトランティス滅亡の経緯が現代に世界にも影響を及ぼして

いるという観点から、20世紀における数々の天変地異の発生を予言する

ところにまで至るのです。

 

具体的には、地球はアメリカ西側で分断されるだろう。日本の大部分は

海中に没する。アメリカ東岸沖に陸地が出現するだろう。北極と南極に

大異変が起こり、それが熱帯の火山噴火を誘発し、その後に地軸が移動

するだろう。その結果、今まで寒帯あるいは亜熱帯であったところが熱帯

となり、コケやシダの類いが生い茂るようになるだろう。これらのことは

1958年から1998年の間に始まるだろう、などということの予言が

なされています。

 

そして、1998年にキリストが再臨し、その際に「神から選ばれた印」を

持つ者のみが救済されるだろう、とまで予言しているのです。

 

これには、『ヨハネ黙示録』の終末論の影響が見られるとともに、20世

紀末における終末と救済とは、人類が新たに「第五根幹人種」へと進化

するものとするなど、神智学の根幹人種論の痕跡が見受けられます。

 

しかし、結果的にケイシーの予言はほとんど当たることがありませんで

した。そして、このような予言のミスが彼の評価を大きく落として

いったのです。

 

確かに、ケイシーはフィジカル・リーディング、つまり霊的治療の分野で

すぐれた働きをしたと思います。そして、ライフ・リーディングにおいて

も、過去世とそのカルマの影響ということについて、キリスト教の教義に

よる呪縛に悩みながら、曲がりなりにも明らかにしてきました。しかし、

彼がアトランティスについて、その時代の状況を詳しく語ろうとし、

さらにそれに基づいて近未来の予言をなすに至った時、一線を越えて

しまったのではないかと思います。

 

ケイシーの息子であるヒュー・リン・ケイシーは、のちに「もしエドガー

・ケイシーがアトランティスについて語ることがなかったら、どんなに

やりやすかったかと思う」と述べていますが、そうなってしまったのは、

神智学の知識やキリスト教の教義の混入とあいまって、予期しないほど

世の多くの人たちの注目を浴びたことが彼の人生の負担になり、世間の

評価に心を揺らすことによって、当初は、かなり正確であった通信が

徐々に阻害されていった結果ではないでしょうか?

 

特に、予言に時期を明記したことは、致命的であったように思います。

しかし、予言の目的とは、当てることではなく、そういった状況が

到来しないように警告することであるならば、ケイシーの予言も一定
の意味を持った
のではないかと思います。

 
 
 
 
  
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