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アポロンとディオニュソス(下)-ギリシャ神話4-


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ディオニュソス2



オニュソスは、ギリシャ神話における豊穣とブドウ酒と酩酊の神です

が、他の神々と比べると大変風変わりな神です。

 

語源的には、「ニューサのゼウス(若い神の意)」であり、伝説や機能に

いくつかの類似があるところから、ヴェーダの神ソーマのギリシャ化

した姿ではないかと言われています。

 

このデオニュソスに対する信仰が発生したところは、トラキア(バル

カン半島南東部)であったとされますが、その後、ギリシャ全土で崇拝

されるようになったようです。原始のデオニュソスの姿は、外国の神、

特に、クレタ島の神ザグレウス、ブルュギア(アナトリア半島(小アジア

))の神サバジオス、さらにリュディア(アナトリア半島(小アジア))

の神バッサレウスなどから借用した諸特徴によって複雑になっていった

ようです。

 

それゆえ、彼に性格が新たにいくつかの要素が加わって豊かになるにつれ、

彼に影響力の及ぶ範囲も広がっていったということです。最初は単なる

ブドウの神であったのが、のちに植物と暖かい水分の神となり、さらに

楽しみの神、文明の神に、そして最後に、オルぺウス(オルフェウス)

教の考えでは、一種の最高神となったのです。

 

さて、デオニュソスの誕生については、通説では次のように言われて

います。

 

<テーバイの王カドモスの娘セメレは、ゼウスに見染められ、その意に

従った。ゼウスは、彼女を訪ねて父の宮殿へやってきたのであった。

ある日、セメレは、自分の乳母に化けたヘラにすすめられ、ゼウスに、

オリュンポスの神のままの姿を見せてほしい、とたのんだ。すると、

彼女は愛する神の目もくらむ輝きに耐えられず、ゼウスの身体から発した

炎で焼き尽くされてしまった。彼女の胎内にいた子供も、もし茂った

ツタの若枝が突然宮殿の列柱にからみつき、その胎児と天の炎との間を

緑の幕で遮らなかったなら、ともに死んでしまっていたことだろう。

ゼウスは子供を拾いあげ、まだ誕生には間があったので、自分の太股に

封じ込めた。月満ちてゼウスは、イリテュイアの助けにより、この子供を

再び取り出した。デオニュソスにディテ ラムボス(二度外に出るの

意)という添え名がつくのは、この二度にわたる誕生のためである。>

 

その後、成長したデオニュソスは、ブドウ栽培の技を身につけて、長い

遠征の旅に出ます。旅はギリシャにとどまらず、今のトルコ、シリア、

エジプトなどを放浪しながら、自らの神性を認めさせるために、信者の

獲得に勤しんだという。そして、自分の神性を認めない人々を狂わせたり、

動物に変えるなどの力を示し、神として畏怖される存在となったという。

彼には踊り狂う信者や、サテュロス(半人半獣の精霊)たちが付き従い、

その宗教的権威と魔術や呪術により、遂にはインドに至るまでその支配

を及ぼしたということです。

 

さて、この旅の過程で多くの伝説が生まれたとされるのですが、デ

ニュソス伝説が豊富であるのは、彼が広く人気があったばかりでなく、

その性格が、いくつかの他の国の神々、とりわけ先に触れたブルギュア

のサバジオス、リュディアのバッサレウス、クレタ島のザクレウスなど

の性格を吸収したからだと言われています。

 

サバジオスは、トラキアで最高神として崇拝されていたが、もとはブル

ギュア起源で太陽神だと言われています。彼に関する伝承は様々あって、

ある場合はクロノスの息子であり、またキュベレの息子であって、しか

もその仲間ということになっていたということです。サバジオスには

角が生えており、その象徴は蛇であった。サバジア祭は、躁宴的性格を

もった夜の祭りであったが、このサバジオスを祀って行われたという。

 

サバジオスが後にデオニュソスと同化したとき、彼らの伝説もまた融合

したようです。デオニュソスがニムフ(精霊)たちに託される前、

サバジオスがその太股に封入していた、という説もあり、また、反対に、

サバジオスはデオニュソスの息子だと主張するものもいたということ

です。そして、こうした混乱の結果、デオニュソスをトラキア起源だと

考えるまでに至ったようです。

 

なお、リュディアにおいても、ブルギュアのサバジオスに類似した神が

祀られていて、その名はバッサレウスであったろうと推定されています。

彼が征服する神であったのは確かなようであり、デオニュソスの遠征

の由来は彼に起こったものではないかと言われています。

 

また、デオニュソスと、起源においては、ギリシャのゼウスに等しい

クレタ島のザグレウスとの同化は、オルぺウス教の影響のもとで、

この神の伝説の中に、新しい要素、デオニュソスの受難の伝説を

持ち込んだようです。

 

オニュソス=ザクレウスの伝承は、次のようなものです。

 

<彼は、ゼウスとデメテル、あるいはコレ(ペルセポネ)との間の息子で

あった。他の神々は、彼を嫉妬し虐殺することにした。ティタンたちは、

彼を八つ裂きにし、遺体を大釜の中に投げ入れた。しかし、アテナは、

この神の心臓だけを救い出すことができた。彼女がすぐそれをゼウスに

届けると、ゼウスは、ティタンたちを雷で打ち、まだ脈打っている心臓

からデオニュソスを創造した。ザグレウスの遺体は、パルナッソス山の

麓に埋められたが、彼は冥界の神となり、ハデスで死者の霊を迎え、

それを清める手伝いをすることになった。>

 

<ティタンたちは、ゼウスの雷によって焼き払われ、その灰が今の人類に

なった。この灰にはティタンの肉とザグレウスの肉が混ざり合っており、

そのため、デオニュソス的要素から発する霊魂が神性を有するにもかか

わらず、ティタン的素質から発した肉体が霊魂を拘束することとなった。

よって、人間の霊魂は再生の輪廻に縛られた人生へと繰り返し引き戻され

るのである。この輪を脱するには、デオニュソス的な神性を高める必要が

ある。>

 

こうした受難と復活に対して、オルペウス教の奥儀を極めた者たちは神秘

的な意味を与え、そして、デオニュソスの性格は根本的な修正を加えられ

たのです。彼は、もはやブドウ酒と乱痴気騒ぎの田舎の神ではなくなった。

彼は、もはやオリエントからやってきた躁宴と錯乱の神でもなかった。

それ以後、デオニュソスは、亡ぼされ、生命を失い、再び甦った神、

すなわち、永遠の生命の象徴になったのです。

 

さて、W・F・オットーは、『神話と宗教』のなかで、デオニュソスの

ような異色の神がギリシャ宗教において存在することについて、<オリュ

ンポスの宗教のもつもっとも驚嘆すべき点で、その精神的偉大さの証とも

なるのは、この宗教が回帰する原始世界の神をもその全き栄光のままに

認めえたことである>と述べています。

 

また、この神は、<ひょっと姿を現し、人を錯乱させる不気味な眼差しを

もった神であり、あらゆる民族の間で不気味な霊の直接的顕現と見なされ

ている仮面が彼の象徴である。彼の眼差しに出会うと、人は息もつまり、

落ち着きを失い、秩序だった現存在のあらゆる枠を踏み外す。彼とその

狂乱の群れが現れるところ、そこは太古の世界が再現する。そこでは、

あらゆる拘束と掟が無視される。なぜなら、この世界は一切の拘束や掟

よりも古いのだから。また、この世界は秩序も性の秩序も認めない。

なぜなら、この世界は死ともつれあった生命として、一切の事物を等しく

包括し、統合しているのだから。デオニュソスが意味するもの、それは

根源的に女性的なまったくの驚異の世界であり、あらゆる生育物の溢れる

ばかりの豊饒さであり、人間の心そのものを驚異に化して無限なるものに

合一せしめるぶどうの不思議な魔力である>としています。

 

ところで、前回、紹介したアポロンは浄化する者であり、秩序の確立者で

した。しかし、デオニュソスのもたらすものは陶酔であり、無秩序です。

 

オットーは、このまったく相容れないように見えるデオニュソスとアポ

ロンの提携によりギリシャの宗教はその頂点に達したと述べています。

 

そして、<アポロンとデオニュソスとが互いに歩み寄ったことは単なる

偶然では決してない。両者の世界はいとも厳しく対立しながらも、根本

においては永遠の絆で結び合わされているがゆえに、両者は互いに引き

つけ合い、求めあう>としています。

 

なぜならば、<オリュンポスの神族そのものが、デオニュソスがわが家

ともしている大地の底知れぬ深淵から生まれてものであって、その暗い

素性を否定することができない。上なる光と精神とは幽暗なるものと

母性的な深淵とを絶えず自己の足下に保っていなくてはならない。

そこにこそ一切に存在の基礎がある。オリュンポスの天界の輝きはすべて

がアポロンに結集して、際限ない生成流転の世界に対峙している。アポ

ロンに地上における円舞の酔いしれた先導者デオニュソスが加わって、

あまねく世界を網羅する>ことができるのだと述べています。

 

かくして、<服従と貧しき心の宗教ではなく、明敏な精神の宗教たるべき

オリュンポスの宗教にしてはじめて、他の諸宗教が切り離し、呪詛を

もって対処したそのところに、弓と竪琴とに見られるような互いに

張り合う統合を認め、讃えることができたのである>としています。

 


 
 
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